もみじの本屋   小川洋子

『博士の愛した数式』

博士の愛した数式『博士の愛した数式』
著:小川洋子 (新潮文庫)

物語は家政婦の視点で描かれている。
主要な登場人物は博士、家政婦、家政婦の息子の√(ルート)の3人。
また素晴らしい脇役として博士の義姉。それにあけぼの家政婦紹介組合の存在も重要だ。

博士の記憶はぴったり80分しかもたない。頭の中に80分のビデオテープ一本しかセットできない状態なのだ。
つまり毎日家政婦が家を訪れると初対面の挨拶が繰り返される。そんな博士の服にはメモがぎっしり。

博士はもともと数学の研究者だったので、数学の話題がのぼることが多い。友愛数や完全数、虚数に三角数にオイラーの公式‥。
どの話も魅力的で輝いている。家政婦の息子に√というあだ名をつけたのも博士である。

3人が毎日繰り返される触れあいの中で、お互いにあたたかいものを築き上げていく。そして時々起こる事件に3人は様々なことを感じ、喜び、悲しみ、そして悩む。

淡々と書かれている中での微妙な変化、家政婦の心理的な動きが巧みに描かれる。数学を題材にしたちょっと変わった純文学作品。

(TBさせてもらったblog)
→ 博士の愛した数式(備忘録)
→ 小川洋子『博士の愛した数式』新潮文庫(活字の宇宙へと)
→ 小川洋子『博士の愛した数式』(itchy1976の日記)
→ 『博士の愛した数式』売上No.1に(Aliiyブログ)


(過去の関連レビュー)
→ 『世にも美しい数学入門』


(関連書籍)
『世にも美しい数学入門』 藤原正彦、小川洋子 (ちくまプリマー新書)




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