『スキップ』
『スキップ』 (新潮文庫)
著:北村薫
いわゆる「時と人の3部作」の一つである。
昭和40年代初め、高校2年生の一ノ瀬真理子は千葉の女子校に通っていた。体育祭や文化祭に青春を謳歌する彼女。
体育祭の日、雨が降り出し途中で中止になってしまう。親友の池ちゃんと体育館ですこし話したあと家に帰り、いつものように応接間においてあるステレオでクラシックのレコードをきいていた。
そしてついうとうととしてしまう。
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目が覚めた時には音楽はとまっていた。
いやそれどころか違う時、違う場所にいたのである。
彼女は42歳の一ノ瀬真理子になっていた。
17歳の真理子がタイムスリップしたのか、それとも42歳の瀬真理子が記憶喪失になってしまったのかはわからない。
しかし、心は17歳、体は42歳、そして夫も娘もいるという事実にただただ困惑する。
さらに、真理子は高校の国語教師として働いていたのだ。
25年の変化した部分、昭和40年の流行、そして高校の描写、どれも丁寧に描かれていて感心した。
また読み終えたあとのなんとも言えない爽やかな感じ、好感を持てる素敵な登場人物、さすがは北村薫である。
今の自分を形づくる、大切な記憶。
時は不可逆的であり残酷に流れる。
しかし、だからこそ一生懸命に今を生きたい。
読み終えて、そんなことを思ったりした。
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(関連書籍)
『ターン』著:北村薫 (新潮文庫)
『リセット』著:北村薫 (新潮文庫)
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コミュニティ( 本・雑誌
| ブックレビュー )
『朝霧』
『朝霧』 (創元推理文庫)
著:北村薫
シリーズ第5作である今回は、「私」は卒業論文を書き上げ、大学を卒業。小さな出版社の編集者として働きはじめる。
この本には「山眠る」、「走り来るもの」、「朝霧」の3編収まっているのだが、そのなかの「山眠る」で田崎先生が「私」にこういう。
「いいかい、君、好きになるなら、一流の人物を好きになりなさい。(中略)本当にいいものはね、やはり太陽の方を向いているんだと思うよ。」 (本文より)このセリフが心に響いた。また、最後に「私」が本郷先生にいうセリフも好きである。
「走り来るもの」のリドルストーリーや「朝霧」ででてくる「私」の祖父の日記の謎もおもしろい。
このシリーズをずっと読んでいくと点と点が線でつながる瞬間がある。それがなんとも心地よく、そして「ああここでこうつながるのか」と驚かされる。それは一編の話のなかであったり、一冊の本の最初と最後であったり、ときには前作との関連であったりするのだが。
blog「まっしろな気持ち」でましろさんがいろいろと詳しく書いてくれているので、そちらもどうぞ。
→
朝霧 (まっしろな気持ち)
(関連書籍)『空飛ぶ馬』 北村薫 (創元推理文庫)
『夜の蝉』 北村薫 (創元推理文庫)
『秋の花』 北村薫 (創元推理文庫)
『六の宮の姫君』 北村薫 (創元推理文庫)
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『六の宮の姫君』
『六の宮の姫君』 (創元推理文庫)
著:北村薫
今作では「私」が大学の4年生になり芥川龍之介を題材に卒論を書く。話のメインは芥川龍之介作品の中でも「六の宮の姫君」について。文壇の長老田崎信先生との会話の中から一つの謎に出くわし、「私」がそれについて調べはじめるというもの。
芥川龍之介だけでなく周辺の作家たちの名もたくさんあがるし、芥川龍之介の作品に触れたことのある人にとっては、面白い考察がいろいろと書かれていることだろう。
また解説によればこの作品のベースは著者自身の卒業論文でもあるそうで、卒業論文を書くための掘り下げ方も参考になる。これから卒業論文を書くという人にもおすすめの一冊である。
この本を読む前または読んだ後に読むとより楽しめるのではないかと思うものをいくつか下にあげておく。
あとここよりももう少し内容に踏み込んでレビューを書いているところがあったので紹介させてもらう。
→
六の宮の姫君 (まっしろな気持ち)
(関連書籍)『空飛ぶ馬』 北村薫 (創元推理文庫)
『夜の蝉』 北村薫 (創元推理文庫)
『秋の花』 北村薫 (創元推理文庫)
『朝霧』 北村薫 (創元推理文庫)
(※以下ネット上で無料で拝読できます)
- 理解が深まる -『六の宮の姫君』 芥川龍之介
『往生絵巻』 芥川龍之介
- 興味があれば -『羅生門』 旧仮名 芥川龍之介
『羅生門』 新仮名 芥川龍之介
『父帰る』 菊池寛
『身投げ救助業』 菊池寛
『無名作家の日記』 菊池寛
『奉教人の死』 芥川龍之介
『菊池寛全集』の序 芥川龍之介
『芥川の事ども』 菊池寛
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『秋の花』
『秋の花』 (創元推理文庫)
著:北村薫
“円紫師匠と私”シリーズ第3弾。この本は、このシリーズではじめて一話を一冊まるまる使って書いており、またシリーズで唯一人が死んでいる。よくある推理小説のように次々と人が死んでいくわけでもないが、読んでいる途中ずっと怖かった。作者の文章や構成が巧みなためだろう、いろいろな想像をかき立てられるのだ。
早く円紫師匠にでてきて欲しいと願いながらもなかなか出てこないのがもどかしい。結末はうまく円紫師匠がのみこんでくれたように思う。そこにまた著者の巧さを感じてしまう。
読み終えたあとの余韻は
『空飛ぶ馬』、
『夜の蝉』とはまったく違ったものであり、冷然としてはいるが悪くはない読後感である。
当然おすすめの本なのだが、この本は読む前には少し覚悟しておいた方がいいかもしれない。
(シリーズ)『空飛ぶ馬』 北村薫 (創元推理文庫)
『夜の蝉』 北村薫 (創元推理文庫)
『六の宮の姫君』 北村薫 (創元推理文庫)
『朝霧』 北村薫 (創元推理文庫)
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『夜の蝉』
『夜の蝉』 (創元推理文庫)
著:北村薫
いわゆる“円紫師匠と私”シリーズの第2弾、以前に紹介した
『空飛ぶ馬』の続編であり、『夜の蝉』には「朧夜の底」、「六月の花嫁」、「夜の蝉」の3編が収録されている。根底にあるのは一つのテーマなのだが、それぞれに色合いの異なる話でおもしろい。
「朧夜の底」は現代社会の影の部分が見え隠れして、すこし怖い話である。「六月の花嫁」はほのかな恋の話だが、推理小説らしい話でもありあれこれと考えてしまう。「夜の蝉」は、ある出来事をきっかけとして姉妹の絆を感じさせられる、ちょっと心あたたまる話だ。
このシリーズは本当におすすめなので是非ともご一読を。
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(シリーズ)『空飛ぶ馬』 北村薫 (創元推理文庫)
『秋の花』 北村薫 (創元推理文庫)
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『朝霧』 北村薫 (創元推理文庫)
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『空飛ぶ馬』
『空飛ぶ馬』 (創元推理文庫)
著:北村薫
日常の謎を取り扱いとてもさわやかなで、一般的な推理小説とくらべ異色な作品である。
そして読んでいると、誰しもがどこかしら「私」に共感できる。「私」は誰でもするような、また誰もしないような経験をつんで成長していく。それが読んでいる人をどこか懐かしく、そして嬉しく感じさせるのではないだろうか。
噺家、春桜亭円紫師匠もいい味をだしている。この本を読んだ人ならば、こんな人がいたら絶対知り合いになってみたいと思うに違いない。
内容は「私」がであう謎を、円紫師匠が解き明かすといった形ですすんでいく。
推理小説ではあるが、普通の小説の感覚で読んでもとても面白い。
個人的には読むときのBGMとして、ノラ・ジョーンズの
「feel like home」をずっと聞いていた。
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『秋の花』 北村薫 (創元推理文庫)
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