『陽だまりの迷宮』
『陽だまりの迷宮』 (ハルキ文庫)
著:青井夏海
『スタジアム 虹の事件簿』のレインボーズファンの男の子にしても
『赤ちゃんをさがせ』のシリーズの聡子さんの息子にしても、思うのはこの著者は男の子の描写がうまいということ。
この作品の主人公は小学三年生の生夫。彼の行動や心理描写もとてもうまいと感じた。小学三年生にしては、すこし賢すぎるような気もしないでもないが、案外、あのくらいのことは考えているのかもしれない。
生夫の両親は再婚で、お互いに連れ子、再婚してからの子供、生夫は姉九人、兄一人の11人の兄弟姉妹の末っ子だった。
生夫がであう些細な謎。その些細な謎がたくさん集まって大きな謎になってしまう。
しかし末っ子の生夫は兄弟姉妹には真剣に話を聞いてもらえない。
そこで登場するのが下宿人のヨモギさん。
生夫を対等な大人のように扱い話を聞いてくれる。
そして見事に謎を解いてしまうのだ。
そして読み進めていくと、最後にはあっと言わされてしまう。
加納朋子の本が好きな人は、きっとこの本も気に入ると思うので是非どうぞ。
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『赤ちゃんがいっぱい』
『赤ちゃんがいっぱい』 (創元推理文庫)
著:青井夏海
見習いをしていた助産院をリストラされた陽奈ちゃん。
聡子さんも出産のため休業中なので、自宅出産の助手の仕事もいまはできない。
そんなわけで仕事を探していた陽奈ちゃんに、聡子さんは「ハローベイビー研究所」という、なんとも怪しげなところを紹介してくれた。
陽奈ちゃんはとりあえず面接を受けることにしたのだが、『ハロー、ベイビー 奥園ファミリー愛の奇跡』という、これまたなんとも怪しげな本が送られてきた。
今作は
『赤ちゃんをさがせ』とは違い、一冊で一つの話が書かれているのでなかなかに読み応えがある。
様々な伏線、陽奈ちゃんの行動、明楽先生の名推理などをたっぷり堪能できる一冊。
解決は少し強引な気もしないでもないが、全体のバランスを考えるとそれもいいのかもしれない。
このシリーズのいいところはやはり、人が死んだりしないところであろう。
しかし、いわゆる日常の謎を描いた推理小説ともひと味違う。
そんな独特の味わいがある推理小説はいかがだろうか。
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(関連書籍)
『赤ちゃんをさがせ』著:青井夏海 (創元推理文庫)
『赤ちゃんがいっぱい』の前作
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『赤ちゃんをさがせ』

『赤ちゃんをさがせ』 (創元推理文庫)
著:青井夏海
妻と称する3人の妊婦さんがでてくる「お母さんをさがせ」。3人の男性が父親だと名乗りをあげる「お父さんをさがせ」。そして表題にもなっている、問題のある新興宗教が登場したり拉致事件が起こったりして緊迫したストーリーで展開される「赤ちゃんをさがせ」の3話が収録されている。
自宅出産専門の助産婦をしている聡子さん、助産婦院の見習いをしながら聡子さんのお手伝いをする陽奈ちゃん。
この二人が行く先では、なぜかいつも奇妙な謎が待ち受けている。
そこで登場するのが伝説のカリスマ助産婦、明楽先生。
聡子さんの師でもある彼女は、鮮やかな推理で二人の抱えてきた謎を解く。
一風変わった助産婦メインの推理小説。
※「助産婦」という名称は「助産師」に変わっているが、改正前に執筆された作品なので、「助産婦」という名称が使われている。
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(関連書籍)
『赤ちゃんがいっぱい』著:青井夏海 (創元推理文庫)
『赤ちゃんをさがせ』の続編
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『スタジアム 虹の事件簿』
『スタジアム 虹の事件簿』 (創元推理文庫)
著:青井夏海
まったく野球のことを知らない、虹森多佳子。
そんな多佳子がなぜか球団のオーナーになり、足繁く万年最下位のプロ野球球団、東海レインボーズの応援に通うようになった。
観客席の彼女はまるでパーティーにでも行くような格好で、気品さえも漂わせながら静かに東海レインボーズの試合を見ている。
この小説は推理小説であると同時に野球小説‥という言葉があるかどうかは知らないが、野球についての小説でもある。
しかも推理小説の主人公である虹森多佳子が野球音痴であるため、野球のルールも彼女に説明するという形をとってシンプルに解説してあるので、野球について知らない人でも楽しんで読めるようになっている。
そしてもちろん野球小説の主人公は東海レインボーズであるが、その試合についても話を追うごとに1回戦、4回戦、13回戦、18回戦、そして26回戦と盛り上がっていく。
推理小説としては結末へのもって行き方が多少強引のような気もしないでもないが、そこは小説と割り切って考えれば、この話を最後はどういうふうに解決させるのか、読んでいて逆にその切り口が楽しみにもなってもくる。
北村薫の
『空飛ぶ馬』のシリーズや
加納朋子の小説のように日常の謎をとりあつかう小説であるが、両者とはまた少し違った味わいのある本だと思う。
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