もみじの本屋   池澤夏樹

『クジラが見る夢』

クジラが見る夢『クジラが見る夢』 (新潮文庫)
著:池澤夏樹

史上はじめて素潜りで100メートルを潜った男、ジャック・マイヨール。彼と共にイルカやクジラと接して過ごした日々を池澤夏樹が語る。

話は「バハマ沖」、「サウス・ケイコス」、「シルバー・バンク」の3つに分かれている。
「バハマ沖」では、ジャック・マイヨールや著者たちがイルカを追う話がメインだ。「サウス・ケイコス」では、ジャック・マイヨールが昔、ロブスター漁をしていたときに出会った人たちとの交流と近くの無人島にキャンプに行く話である。そして「シルバー・バンク」は、ジャック・マイヨールたちとクジラとの話だ。

「素潜りである限度を超えて潜るようになった時、彼は精神と肉体が深く結びついていることを知った。身体だけが潜るのではない。精神の意志を肉体が実行する。いや、精神力によって肉体を管理するというような一方的なことではないだろう。両者が渾然一体となってはじめて一〇〇メートルの深度への往復が実現する。」(本文より)

「宗教は自分の外に敷かれたレールに乗ることだから、その方法は彼(=ジャック・マイヨール)はとらない。スキューバと同じでそれは安易すぎる。そうでないものを自分の精神と肉体を通じて求める。」(本文より)


読んでいるとジャック・マイヨールという人物が少しずつ見えてくる。
海に潜ること、ストレッチや呼吸などから精神と肉体のつながりといった思想的なものまでが見え隠れする。

字も大きめで余白も多く、とても読みやすい。
だが、それに反して内容は充実している。
また綺麗な写真も多数収録、著者のシンプルな挿絵もいい雰囲気である。


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イルカと、海へ還る日『イルカと、海へ還る日』
著:ジャック・マイヨール (講談社)


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『南の島のティオ』

南の島のティオ『南の島のティオ』 - 児童書 -
著:池澤夏樹 (文春文庫)

ある南の島に住むティオという名の少年が主人公。
そして、ティオの父は町にあるホテルを経営している。
ティオも、父と一緒に空港にお客さんを迎えに行ったり、島を案内したりとよく仕事の手伝いをする。

話のなかにはいろいろな人たちや人でないものも出てくる。
ちょっと変わった絵はがきをつくる絵はがき屋さん。たまにいたずらをする神さま。不思議な言動をするカマイ婆。怖い怖い天の者。
ホテルに来るお客さんや、島の人たち・子どもたちが織りなす、ちょっと不思議な10の物語。

解説を読むまでは気づかなかったのだが、この作品は児童文学なのだそうだ。
「飛ぶ教室」に連載、第41回小学館文学賞を受賞しているというのだから、疑いようもない事実であるが、大人が読んでも楽しめる物語。

あなたもこの本を読んで、あたたかくも不思議な風に吹かれてみてはどうだろうか。


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