もみじの本屋 ●外国人作家

『チーズはどこへ消えた?』

チーズはどこへ消えた?『チーズはどこへ消えた? Who Moved My Cheese ?』 (扶桑社)

著:スペンサー・ジョンソン(Spencer Johnson, M.D.) 
訳:門田美鈴


この物語に登場するのは―

  ネズミのスニッフとスカリー、
  小人のヘムとホー。

2匹と2人は「迷路」のなかに住み、
「チーズ」を探します。

「チーズ」とは、
私たちが人生で求めるもの、
つまり、仕事、家族、財産、健康、
精神的な安定……等々の象徴。

「迷路」とは、
チーズを追いもとめる場所、
つまり、社会、地域社会、家庭
……等々の象徴です。

(以下略)

            (そで より引用)


ネズミは単純さの象徴であり、スニッフはいち早くチャンスをかぎつけ、スカリーはすぐに行動を起こす。
小人は複雑さの象徴で、ヘムはいっそう事態が悪化しないかと憂慮し、ホーはもっといいことがあるに違いないと未来を信じる。

全体を通してのテーマは変化があったときに、その変化に対して憂慮したり深く考え込まないで、その変化に応じた行動をするべきだということ。
変化=悪いことではなく、変化=チャンスだととらえるべきだということである。

たしかに変化が起きたときに、それに対応せずにいると悪い方向へいくことも多いだろう。
またその変化をマイナスにとらえず、チャンスとしてとらえるプラス思考は、なにか物事を成すときに重要な思考の一つだと思う。

ただ、積極的に変化に対応していく姿勢は、個人的には安定をますます壊す恐れもあると考えてしまう。
こういう考えはヘム的であり、本書のなかでは否定的に扱われているが……。
変化への対応の仕方次第で、事態は悪化していくこともあるだろう。
その変化をどこまで視野を広げて見られるかということにかかってくるように思う。

『バターはどこへ溶けた?』を先に読んでいるためか、残念ながら全体的に共感できる部分が少なかった。
こちらを先に読んでいれば、また違った感想だったかもしれないが、どちらかというと『バターはどこへ溶けた?』の方が共感する箇所が多かった。

とはいえ、いま変化のただなかにいる人(職を失ったり、家族が増えたり、なにかトラブルを抱えていたり)には、思考を切り替える機会になるかもしれない一冊だと思うので、気軽に読める内容だけに一度読んでみてはいかがだろうか。



(関連書籍)
バターはどこへ溶けた?『バターはどこへ溶けた?』
著:ディーン・リップルウッド (道出版)

→ レビュー



『チーズはどこへ消えた?』『バターはどこへ溶けた?』どちらがよい本か?『チーズはどこへ消えた?』『バターはどこへ溶けた?』どちらがよい本か?
著:ダリオ・マリネッティ (データハウス)




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『ペンギンの憂鬱』

『ペンギンの憂鬱』 (新潮クレストブックス)
著:アンドレイ・クルコフ 訳:沼野恭子

アンドレイ・クルコフ 新潮社 2004-09-29
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ウクライナの首都キエフで暮らす主人公のヴィクトルは、動物園から引きとったペンギンのミーシャと暮らす売れない短編小説家。短編小説の持ち込みをしたことをきっかけに新聞の追悼記事をあらかじめ書いておく仕事を始めるが……。

話が進むにつれ、ヴィクトルのもとには<ペンギンじゃないミーシャ>の娘のソーニャと、友人のセルゲイの姪のニーナとともに暮らすようになる。彼らの関係も微妙なバランスのうえで成りたっており、妙な不安定さを感じる。
常に恐怖がつきまとう日常、でもそれが淡々と淡々と描かれてゆく様子は、なんだかシュールレアリスムの絵画を見ている様だなと思った。

寺田順三の描いた表紙がとても可愛いく、おそらくソーニャとミーシャなのだろうが、とても微笑ましい。


以下は備忘録も兼ねて、本書より気になった箇所を何箇所か抜粋しておきたいと思う。


【Read More】




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『小さいつが消えた日』

『小さいつが消えた日』 (新風社)
文:ステファノ・フォン・ロー 絵:トルステン・クロケンブリンク 

ステファノ・フォン ロー 新風舎 2006-11
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   →新しく三修社からでているようです

ある日、大好きな印刷所のおじいさんが話してくれた話。

文字にも人間や動物と同じように魂があって、それぞれの文字には性格もあって、いいやつもいれば、意地の悪いやつもいるし、強みもあれば、弱点もある。
この五十音たちの性格が、読んでいてなかなかに特徴をつかんでいておもしろかった。

さて、物語の主人公の小さい“つ”だが、とてもかわいい男の子で、ユーモアがあって観察力に優れている。いつも周りに気を配り、相手の立場で物事を考えている。ただ、彼は口がきけない。
そんな小さい“つ”が、ある出来事をきっかけにいなくなってしまう。

五十音がキャラクターという発想はおもしろいし、ストーリーもとてもまっすぐで、子供も大人も楽しめる作品だろう。
また必要のないものなんていないというメッセージもはっきりと伝わってくる。
三つの思い出にはじまり、三つの習慣で話が終わるところもおもしろいし、そこで終わりかと思いきや小さい“つ”がその後どうなったかというところにまで、それが掛かっていて最後はにやっと笑ってしまった。




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『秘密の花園』

秘密の花園『秘密の花園』 (光文社古典新訳文庫)
著:フランシス・ホジソン・バーネット 訳:土屋京子

昔、読んだ記憶はあるのだが、内容はうろ覚えで、梨木香歩の『『秘密の花園』ノート』を読み、再読したくなった。手元にはなかったので、本屋でいくつかの出版社のものを見てみて、個人的に読みやすいと感じた光文社古典新訳文庫のものを購入。買った時の感想はこんなに厚い本だったかな?と。

それはさておき内容であるが、裏表紙の説明をそのままのせると、

インドで両親を亡くしたメアリは、英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引きとられ、そこで病弱なコリン、動物と話ができるディコンに出会う。3人は長い間誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中していくのだった。

とある。
たしかにその通りの話であるが、注目すべき内容はその出来事のなかで起こっていくメアリとコリンの変化、成長だと感じた。

メアリはインドでは親にほったらかしに(放置)され、メアリの言うことを何でもきく召使いに面倒をみられていた。それが突然環境が変わりヨークシャーへ行き、そこでの召使いのマーサや庭師のベン・ウェザースタッフやコマドリやコリン、ディコンたちと出会い、自分で地に足をつけて立つようになっていく。これは『『秘密の花園』ノート』の梨木香歩の解釈では無機質だったところに徐々に動植物などの生命が溢れていく様子と対比されながら描かれているというのであるが、読んでみて本当にその通りだなと思った。
コリンも屋敷の奥に寝たきりで閉じこもり、わがまま放題に育っていたところに、メアリと出会い、またディコンと出会い変わっていく。この二人の変化は読み進めていくとどんどんと清々しく、また読者も喜びが満ち溢れてくるようである。

またイギリス文学でよく登場するヨークシャーが舞台である。
個人的にはヨークシャーというと豚の品種思い浮かべてしまうが、文学が好きな人だと『嵐が丘』、舞台が好きな人だと『ヨークシャーの悲劇』などを思い浮かべるかもしれない。
ヨークシャーは荒々しい大自然のイメージが強いが、本書では、もちろんそういった部分も描かれているが、それ以上に力強い生命力に満ち溢れた、美しい自然豊かな土地として情景豊かに描かれている。

100年も前に書かれた作品であるが、今読んでもまったく色あせることのない名作である。
梨木香歩の作品が好きな人ならば、是非『『秘密の花園』ノート』と合わせて読んでみるといいのではないだろうか。




(関連書籍)
秘密の花園ノート『秘密の花園』ノート
著:梨木香歩 (岩波ブックレット)

→ レビュー




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『絵のない絵本』

絵のない絵本『絵のない絵本』
著:アンデルセン 訳:矢崎源九郎 (新潮文庫)

「月」が、ある貧しい絵描きのために話をしてあげる。
その絵描きは「月」からきいた話を言葉という筆で描いていく。

いろいろな時代、いろいろな場所での記憶。
人びとの喜びや悲しみ、希望、苦悩、すべては月の光りが照らしだした一場面である。
舞台はイタリア、スウェーデン、オーストリアなどヨーロッパ各地をはじめ、インド、中国、アフリカにまで広がる

月が語ってくれる話ひとつひとつが、夜空に瞬く星のようにきらきらと輝く。
それをゆっくりと眺めているだけで、読者もその物語を手の届くものとして感じることができるのではないだろうか。


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