『愚者のエンドロール』

愚者のエンドロール『愚者のエンドロール』 (角川文庫)
著:米澤穂信

『氷菓』に続く作品。いわゆる「古典部シリーズ」の2作目である。
古典部も文化祭の準備を進めるなか、二年F組の生徒からその組の有志で行う出し物についてのちょっとした相談をうける。
内容は未完の自主制作映画の結末を推理する手伝いをするというものだった。
ミステリ好きならばこの設定は心くすぐられるものがある。

「折木さん、わたしとても気になります」と、やはり千反田えるに引っ張られる形で、ホータローも手伝わされる羽目になってしまう。
ホータローの若干の気持ちの変化や、古典部員とのやりとりなど、『氷菓』同様、青春小説的な要素も強く、そういった面からも十分に楽しめる。

『毒入りチョコレート事件』の本歌取りらしいのだが、まだ未読のためその部分についてはおもしろみがわからなかったが、しかし、そんなことは関係なくおもしろいので、是非、読んでみてほしい。



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(関連書籍)
毒入りチョコレート事件『毒入りチョコレート事件』
著:アントニイ・バークリー (創元推理文庫)

氷菓『氷菓』
著:米澤穂信 (角川文庫)

クドリャフカの順番『クドリャフカの順番』
著:米澤穂信 (角川書店)

遠まわりする雛『遠まわりする雛』
著:米澤穂信 (角川書店)

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『氷菓』

氷菓『氷菓』 (角川文庫)
著:米澤穂信

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」をモットーとする折木奉太郎、高校に入学した彼は姉からの手紙で3年間入部者0の‘古典部’に入部することになる。

放課後、友人で似非粋人、減らず口がトレードマークの福部里志との雑談のあと、部室である地学講義室に行ってみるとそこには清楚な容姿の女の子が立っていた。名前は千反田える、古典部に入部したという同級生であった。

彼女は見かけとは裏腹に好奇心爆発少女、気になることがあると「わたし、気になります」とそのことを考え出す。
それに巻き込まれ、省エネ主義のホータロー(奉太郎)も一緒に考えさせられる羽目に。

ホータローと小学校以来9年間も同じクラスだったという伊原摩耶花も加え、4人は古典部の文集「氷菓」と古典部の過去に秘められた謎に迫っていく。

もともとが角川スニーカー文庫ということで、ライトノベルらしく、キャラの設定は面白いし、肩の力を抜いて読むことができる。さらに、読んでいて飽きないおもしろさ。
読後感は、事件で人が死んだりしないにも関わらず少しほろ苦いものがある。これはネタばれになるので詳しくは書けないが、ある人物の個人史によるところが大きい。

米澤穂信のデビュー作、興味をもたれた方はぜひどうぞ!


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(関連書籍)
愚者のエンドロール『愚者のエンドロール』
著:米澤穂信 (角川文庫)

クドリャフカの順番『クドリャフカの順番』
著:米澤穂信 (角川文庫)

遠まわりする雛『遠まわりする雛』
著:米澤穂信 (角川書店)

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『夏期限定トロピカルパフェ事件』

夏期限定トロピカルパフェ事件『夏期限定トロピカルパフェ事件』 (創元推理文庫)
著:米澤穂信

『春期限定いちごタルト事件』の続編。

単なる互恵関係の小鳩くんと小佐内さん。二人が休日に会うということはほとんどない。しかしこの夏は違っていた。
高校2年の夏休み、小鳩くんは小佐内さんの選んだ夏のスイーツベスト10を食べてまわるという〈小佐内スイーツセレクション・夏〉につきあうことになった。

物語は「ソースの焦げる匂いがした。」という一文から始まる。「香ばしい」ではなく「焦げる」という表現を使っているあたり、なんとも不穏な雰囲気が漂う。文章はさらに、「それだけならいい香りだったかもしれないけれど、ほかにも醤油や油の匂い、砂糖が溶ける甘い匂いなども漂っていて、全部を混ぜ合わせればどう考えてもいい香りではなかった。」と続く。

読み進めていくと、冒頭部分のそんな不穏な空気はすっかり忘れ、小鳩くんや小佐内さんとともに日常のなかにうずもれていく。
そして、事件も解決めでたしめでたし・・かと思いきや、この本には続きがある。
ネタばれしてしまうため、その部分について語れないがいい意味で期待を裏切られる。
そして読み終えてみて、冒頭の部分がなんとなく物語全体を示唆していたような気がした。

今作は前作以上に短編連作としての完成度が高い。
ところどころで感じる微妙な違和感、それを見ていくことで全体像が浮かび上がってくる。しかし、シンプルそうに見える全体像も案外、一筋縄ではいかない。
推理小説として本書を見る場合、どこまでその全体像を見抜くことができるかが腕の見せどころとなるだろう。

(いいなと思った記事)
●  『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信 (今夜、地球の裏側で)
→ 内容もわかりやすい細やかなレビューが素敵だ。
●  『夏期限定トロピカルパフェ事件』 裏切られた!無論、いい意味で! (ぷれヴぃじおーね)
→ ストレートに書かれた感想が心地いい記事。


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(関連書籍)
春期限定いちごタルト事件『春期限定いちごタルト事件』
著:米澤穂信 (創元推理文庫)

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『春期限定いちごタルト事件』

春期限定いちごタルト事件『春期限定いちごタルト事件』 (創元推理文庫)
著:米澤穂信

タイトルの可愛さに惚れて購入。

高校生になった小鳩くんと小佐内さん、彼らは小市民を目指すため互恵関係にある。
互恵関係というのは小市民たるために、どちらかが逃げるときにはもう一方が楯となるという約束をしているということだ。
はたして立派な(?)小市民になれるのか。

5つの連作小編(とプロローグとエピローグ)で構成されているのだが、謎は日常の謎がメイン。
本格推理小説好きの人には多少物足りないところもあるかもしれないが、最後の「弧狼の心」はなかなか本格的。それまでの話の中で巧みに伏線がちりばめられており、ここに集約する。
他に「はらふくるるわざ」では、探偵役の小鳩くんは謎を解くのだが、それを小佐内さんに明かさない。推理小説として、そこがなんだか新鮮だった。。
このあたりが小市民たろうとする二人のおもしろいところであると思う。

作中に登場する甘いもの、そして甘いものを食べるときのに見せる小佐内さんの笑顔が物語のエッセンスとしてとてもよく効いている。
「アリス」の春期限定いちごタルトや「ハンプティ・ダンプティ」のケーキ、是非食べてみたいものである。

(いいなと思った記事))
●  春期限定いちごタルト事件 (白露書房)
→ 「小市民を目指すことによって、彼らは大いなる謎を提示しているのだ。」という部分、なるほどと思った。


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(関連書籍)
夏期限定トロピカルパフェ事件『夏期限定トロピカルパフェ事件』
著:米澤穂信 (創元推理文庫)

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