もみじの本屋   米澤穂信

『さよなら妖精』

さよなら妖精
『さよなら妖精』 (東京創元社)
著:米澤穂信


学校の帰り道、雨宿りをする外国人の少女と出会う。
ユーゴスラビアから来たという彼女とすごした日々を日記を追うという形で回想する。

彼女や友人らと過ごす中で出てくる日常の謎がちりばめられている。
そして物語全体を通して投げかけられる大きな謎を描いたミステリ小説。
また彼ら、彼女らの成長を描いた青春小説でもある。
古典部シリーズに通じる青臭さがありつつも、ちょっとドライなストーリー。

新装版ということで書き下ろし短編の「花冠の日」も収録されている。
マーヤの話であり、これが加わることでより物語の切なさが増す。








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『満願』

満願
『満願』 (新潮社)
著:米澤穂信


6つの短編がおさめられている。
いずれもいい意味で薄気味悪く、耽美な物語という印象をもった。

個人的に謎が謎のままというもやっとした終わり方は好まないので、著者があまりそういった終わり方をしないことを信頼しつつ読んだ。
期待通り、伏線はしっかり回収し、謎はスッキリと解決。

だが謎が解決されつつもハッピーエンドとは限らないのもこの著者の持ち味。
そこに展開がどう転ぶかわからない楽しさがある。
この本に納められている6篇も、絶妙な塩梅だった。

個人的には表題作の「満願」が最も好みだった。

刑期を終えて出所した鵜川妙子。彼女の家に学生時代に下宿していたのは、弁護士の藤井である。

妙子は殺人を犯したことによって刑務所に入っていたのだが、その事件で妙子の弁護をしたのも藤井である。
世話になった妙子のために、少しでも罪を軽くしようとする藤井であるが、あるとき突然妙子は「もういいんです」と言い、控訴を取り下げる。

裁判であらそうことに積極的だった妙子が、なぜ突然控訴を取り下げると言い出したのか。






以下ネタバレ。


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『犬はどこだ』

犬はどこだ『犬はどこだ』 (創元推理文庫)
著:米澤穂信

調査事務所を開業し、病み上がりのリハビリがてら働く主人公の紺屋。犬探しをするべく開いた事務所には友人の大南の紹介で失踪人捜しに古文書解読と想定外の仕事ばかりが舞い込んでくる。
これまた大南から話を聞き押しかけてきた大学時代の後輩、半田平吉ことハンペー。彼も所員として迎え、受けた依頼の解決に向け動き出す。

紺屋は失踪人捜しを、ハンペーは古文書解読を調査していくのだが、ところどころでリンクしていく二つの事件。
読み手はどこまで真相に近づけるだろうか。

飽きさせずサクサクと読めるのに、なかなかに読み応えのある一冊。






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『遠まわりする雛』

遠まわりする雛『遠まわりする雛』 (角川文庫)
著:米澤穂信

いわゆる「古典部シリーズ」の4作目。

今回は、折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花の4人の古典部員の高1の1年間の出来事が7つの短編として語られる。

氷菓事件の前や、前作までの作品と作品間を埋める話、そして文化祭の後の話など、古典部員たちの心情の変化や距離感の変化などがはっきりと描かれている。

推理ものとしておもしろかったのは「心あたりのある者は」である。たった一つの放送からどんどんと展開していく様が読んでいておもしろかった。

また最後の2作「手作りチョコレート事件」と表題作の「遠まわりする雛」で締められるわけであるが、これが1年目最後の終わりに4人の行き着いたところかと、納得しながらもこの後が気になる展開である。

個人的には「遠まわりする雛」で奉太郎が「しっかりしていなさる」と言われるところが印象的であったのと、飄々とした振る舞いをする趣味人、福部里志の行き着く先にも興味がある。

5作目『ふたりの距離の概算』もすでに出ているが、2年生になった4人はどうなっていくのだろうか。楽しみである。


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(関連書籍)
氷菓『氷菓』
著:米澤穂信 (角川文庫)

→ レビュー


愚者のエンドロール『愚者のエンドロール』
著:米澤穂信 (角川文庫)

→ レビュー


クドリャフカの順番『クドリャフカの順番』
著:米澤穂信 (角川文庫)

→ レビュー


ふたりの距離の概算『ふたりの距離の概算』
著:米澤穂信 (角川書店)




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『クドリャフカの順番』

クドリャフカの順番『クドリャフカの順番』 (角川文庫)
著:米澤穂信

いわゆる「古典部シリーズ」の3作目。古典部はある問題を抱えて文化祭を迎える。
手違いで文集を作りすぎてしまったのだ。

話は文化祭前日からはじまり、古典部の部員それぞれが文化祭への思いを胸に前夜を過ごす。
部長の千反田えるは問題を乗り越えられるよう神に祈り、福部里志は文化祭そのものを楽しみにしつつも自分たちがその問題に対してどう動くのかが楽しみでなかなか寝付けず、折木奉太郎はネットをみたり姉とのやりとりをしながらも悲観も楽観もせずただ眠りにつく。そして神山高校文化祭に思い入れのある摩耶花は、自分の確認ミスで問題が起こったと腹をたて、また文化祭中は漫研が忙しく問題を抱えた古典部を手伝えないことに腹を立て、睡眠薬を口にする。
そして、文化祭が始まる。古典部は問題をうまく解決できるのか。

さらに古典部がそんな問題を抱えるなか、文化祭では盗難事件が起こる。
この事件はどう決着するのか。

前作までから引き続き古典部員たちの心情の変化にも注目したい。


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(関連書籍)
氷菓『氷菓』
著:米澤穂信 (角川文庫)

→ レビュー


愚者のエンドロール『愚者のエンドロール』
著:米澤穂信 (角川文庫)

→ レビュー


遠まわりする雛『遠まわりする雛』
著:米澤穂信 (角川文庫)

ふたりの距離の概算『ふたりの距離の概算』
著:米澤穂信 (角川書店)




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