もみじの本屋 2005年11月

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『天使の卵 ―エンジェルス・エッグ』

天使の卵『天使の卵 ―エンジェルス・エッグ』 (集英社文庫)
著:村山由佳

主人公の歩太は大学に落ちてしまった予備校生である。
歩太には高校以来つきあっている夏姫という彼女がいるのだが、電車の中である一人の女性に一目惚れしてしまう。
そして、その女性と偶然にも知り合うことになるのだが・・

純愛小説なのだが、それと同時に青春小説でもある。
ラスト二十数ページの展開には驚かされたが、そこまではとてもシンプルな展開で恋愛小説の王道といった様相である。
しかしそのラストでは、主人公の歩太に感情移入していればいるほど悲しく、そしてやりきれない。涙さえ流してしまうかもしれない。

とても軽くて、サラリとしているので読みやすいのだが、その軽さのために内容の濃い本が好きな人にはおそらく物足りないだろう。しかしその軽さもまた、この本の味わいの一つである。
年代的は10代後半から20代前半の人におすすめの本だ。

(TBさせてもらったblog)
→ 天使の卵(備忘録)
→ 村山由佳『天使の卵-エンジェルスエッグ』集英社文庫(活字の宇宙へと)


(関連書籍)
天使の梯子『天使の梯子』 村山由佳(集英社)
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  村山由佳 トラックバック:3 コメント:4

『agua de beber おいしい水』

agua de beber おいしい水『agua de beber おいしい水』 (マガジンハウス)
著:椎名桜子

話は大きく分けて「魚のいた部屋で」と「10年がたった」と「スーの朝」の3つに分かれてる。
途中、目がうつろな女性とパプリカの写実的な絵が1つはいっていたが、意図はよくわからない。
名前の出てくる登場人物は、ムン、スー、シャー、アビの4人で、メインはムンとスーだろう。
「SW-3」という「自己保存本能を徹底破壊する病気」や「殺し屋の鰯」などが出てくるが謎である。


最初のページの

「 私はこんなにも大切なことを知った  許すということを学んだ
  私の家は開いている
  私の心の扉もみんな開こう
  仲間たちよ、愛というおいしい水を飲もう
 
        ボサノバ「おいしい水」(モライス作詞)より    」


というところに魅かれて購入した本なのだが、兎にも角にも訳のわからない本だった。意味がわからないのだ。もしかすると意味を求めてはいけないのだろうか。
感覚的にはとても表現豊かな本であるように思うのだが、やはり内容はよくわからない。
椎名桜子が『家族輪舞曲』という映画化されるほどの作品を書いていることを考えてみれば、やはり何らかの意味はあるのであろう。
正直にいうとおすすめの本というわけではないのだが、この本を読んだことのある人がどういった感想をもったのかということを、是非とも教えてほしいと思いレビューを書いた。

【Read More】

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●サ行の作家 トラックバック:0 コメント:10
コミュニティ( 本・雑誌 | ブックレビュー

『イタリア遺聞』

イタリア遺聞『イタリア遺聞』 (新潮文庫)
著:塩野七生

この本は著者が『海の都の物語』を書く際に調べた内容で、その本に書かれずにこぼれ落ちた話を中心にまとめられた、30編もの短編の収録されたエッセイ集である。
しかし、エッセイといっても軽い気持ちで読むと手に余るだろう。というのも、内容は主に歴史的なことがらであり、かなりしっかりと書かれている。

『海の都の物語』ということで察しがつく人もいるだろうが、ヴェネツィア共和国の話がメインである。また、ヴェネツィア共和国が当時もっとも外交に苦労させられたであろう(オスマン・)トルコについての記述、さらにヴェネツィア共和国から派生してフランスなど様々な国の話が登場する。

とはいえ、肩がこるということでは決してない。例えば、ヴェネツィアのゴンドラはなぜ黒いのかという話、トルコから黒い飲料カヴェの種を持ち帰り西欧初のコーヒー店が開店する話、「オデュッセイア」の話、ベストセラーをつくりだし、世界ではじめて文庫本をつくった男の話、カサノヴァやスパイの話、レオナルド・ダ・ヴィンチなど芸術家の話、聖地巡礼という名の観光の話などなど、興味ひかれる話がたくさんある。

また、トルコのスルタンとハレム(ハーレム)の話もとても興味深い。想像するような、ただただ優美で官能的な世界などではなく、良くも悪くももっと人間味あふれた世界なのである。そんなハレムの知られざる実態、そしてそこに生きた女性たちが描かれている。

この『イタリア遺聞』の単行本の初版発行は1982年だというのに、これらの話は決して色褪せていない。それどころか新鮮でさえある。上に挙げたのは一例であり、まだまだおもしろい話が盛りだくさんなので、興味のある人は是非読んでみてほしい。




(関連書籍)
海の都の物語 上海の都の物語 下

『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年(上)』(塩野七生ルネサンス著作集4)
『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年(下)』(塩野七生ルネサンス著作集5)
著:塩野七生 (新潮社)

『ヴェネツィアの歴史―共和国の残照』 著:永井三明 (刀水書房)
『ホメロス オデュッセイア (上)』 著:ホメロス 訳:松平千秋 (岩波文庫)
『ホメロス オデュッセイア (下)』 著:ホメロス 訳:松平千秋 (岩波文庫)
『トプカプ宮殿の光と影』 著:N.M. ペンザー 訳:岩永博 (りぶらりあ選書)
『ハーレム―ヴェールに隠された世界』 著:アレヴ・リトル・クルーティエ 訳:篠原勝 (河出書房新社)
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  塩野七生 トラックバック:0 コメント:0
コミュニティ( 本・雑誌 | エッセイ

『白河夜船』

白河夜船『白河夜船』 (角川文庫)
著:吉本ばなな

「白河夜船」、「夜と夜のたびびと」、「ある体験」の3編が収録されている。
「白河夜船」は、奥さんが植物状態にある男性とつきあっている主人公の寺子。寺子は大切な友人であるしおりを亡くしている。
寺子は次第に眠りにとりつかれ、夜と朝の、生と死の、眠りと覚醒の狭間の曖昧な世界に陥っていく。そんな中、会った人は・・・

「夜と夜のたびびと」の主人公は芝美。夜と夜を旅する、ひと所にとどまらず先へ先へ行くやり方を知っているようだった兄芳裕が死に、それ以来、立ち止まっているいとこの毬絵。この毬絵がやはり曖昧な世界に陥っている。
そこに芳裕の彼女だったサラの思い出など様々なことを交えて芝美を中心に描かれる。

「ある体験」は、昔、同じ男性を好きになって争ったライバル春と私(文ちゃん)。二人はいつもいがみ合っていたのだが。私は今は水男とつきあっている。そして春はパリにいるはずだった。しかし春は・・。
3編とも、女性と身近な人の死を描いた話である。とくに前2つは立ち止まっていた女性が再び歩き出す、女性の再生を描いている。
どの話もぬるま湯につかっているようにどこか生暖かく、そしてちょっと切ない、物語である。

余談だが、「白河夜船」という言葉は『いちばん初めにあった海』(加納朋子)のなかに出てきて、そのときに一度調べたことがある。この本は、その言葉がタイトルについていることで興味をひかれ購入した。
「白河夜船」の意味は「ぐっすり寝ていて、何もわからないこと」であるが、これはこの本の内容にとても合っているように思う。

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  よしもとばなな トラックバック:0 コメント:2

『ささら さや』

ささら さや『ささら さや』 (幻冬舎文庫)
著:加納朋子

夫が交通事故に遭う、そんなシーンから物語ははじまる。
残された妻のサヤと赤ん坊のユウ坊、二人にいくつもの困難が襲いかかる。
しかし、幽霊(トランジット・パッセンジャー)となった夫がそっと助けの手を差し伸べ、サヤは、そしてユウ坊は困難をひとつずつ乗り越えていく。

佐々良の街で、騒がしい3人のおばあちゃんや子持ちの母のエリカなどと友だちになっていき、次第ににぎやかになっていくサヤの周辺。
そう、サヤにはどこか人を引きつける魅力があるのだ。そして実はとても強い女性なのだと思う。
読者は、夫とともにそんなサヤを見守り、そして謎解きをしていく。

加納朋子の作品は優しい作品が多いが、その中でも、この本は特に優しさにあふれた作品である。
夫の交通事故のシーンでさえふんわりと、そしてコミカルに描かれている。

幽霊というちょっと不思議な設定はあるものの、やはり日常の謎がメインの加納作品、是非とも堪能していただきたい。


(関連書籍)

てるてるあした『てるてるあした』 加納朋子 (幻冬舎文庫)

→ レビュー



はるひのの、はる『はるひのの、はる』 加納朋子 (幻冬舎)

→ レビュー



- コミックス -
『ささら さや』 1巻
『ささら さや』 2巻
著:加納朋子 絵:碧也ぴんく (バーズコミックス)
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  加納朋子 トラックバック:1 コメント:10

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