もみじの本屋 2006年01月

『ほしのたびびと』

ほしのたびびと『ほしのたびびと』 - 絵本 -
文:舟崎克彦 絵:おぐらひろかず (ひさかたチャイルド)

私たちは よるべない存在です。
  けれど、何かを
あてにしてはいけません。
  自分から ひと粒の種子をまくこと…
そこから宇宙は芽生えます。
         (カバー折返しより)


ちいさなともだちがくれた、なにかのたね。
ちいさなともだちはかえるみちをしっているのかな。

淡い色合いのやわらかな絵をみていると、まるで夢の中にいるような感覚に陥っていく。
『かぜのたびびと』ではバスで終点に、この『ほしのたびびと』では列車で終点にいく。終点というだけで、なぜかそこが特別な場所のような気がするのは不思議だ。


(関連書籍)

かぜのたびびと『かぜのたびびと』 文:舟崎克彦 絵:おぐらひろかず (ひさかたチャイルド)
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コミュニティ( 本・雑誌 | 絵本

『ぼくの小鳥ちゃん』

ぼくの小鳥ちゃん『ぼくの小鳥ちゃん』
著:江國香織 (新潮文庫)

ある日、突然「ぼく」のもとにやってきた小鳥ちゃん。そして「ぼく」と「ぼくの彼女」の織りなす、不思議にまろやかなお話。
ラム酒のかかったアイスクリームやモーツァルトが好きな小鳥ちゃん。
ちょっとわがままだけど、とても愛くるしい小鳥ちゃん。
やっぱり魅力的なのは、この小鳥ちゃんだろう。
そんな小鳥ちゃんに、「ぼく」とともに振り回されてみるのも愉快だ。

ちらっと、小鳥ちゃんが何かの比喩として描かれているのではとも考えたが、この本を読む楽しみ方の一つとしては、素直に小鳥ちゃんを小鳥ちゃんとして読むことだと思う。

色彩豊かな荒井良二のイラストがまた素敵だ。
物語ととてもよく合っていて、読み手のイメージの中に自然な感じで入ってくる。

さらに角田光代の解説も素晴らしい。この解説だけでもエッセイの1エピソードになりそうな感じである。
しかし、すばらしすぎて、読み終えた後の自分自身の印象をぬりかえられてしまうかもしれない。なので、話を読み終えた後、解説を読む前に少し余韻を楽しむことをおすすめする。

(リンク)
→ ぼくの小鳥ちゃん(まっしろな気持ち)




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『虹の家のアリス』

虹の家のアリス『虹の家のアリス』 (文春文庫)
著:加納朋子

サラリーマンをやめ探偵になった仁木順平とその優秀な助手安梨沙が事件を解決していく、『螺旋階段のアリス』の続編。
前作同様に、数々の事件が『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』を上手に絡めてあるところには舌を巻く。

今作では前編に渡って「家族、家庭」というものが根底にある。
親子、兄弟、そして仁木自身の息子や娘、安梨沙とその家族やハウスキーパー。
また、安梨沙の身の回りのことが描かれることによって、謎の多かった安梨沙のことも少しずつわかってくる。そして、安梨沙の成長する姿も少なからず描かれている。

探偵というと多くの物語で描かれているのは、密室殺人や不可能犯罪などの難解な事件を鮮やかに解き明かすというのが一つの姿ではあるが、この作品で取り扱われるのは、ほとんどがささやかな事件ばかり。しかし、もちろんどの事件も依頼人にとってはとても重大な事件なのだ。
そんな事件を取り扱う仁木の姿をみて、探偵という職は、本来、個人ではどうにもならない、だけど警察ではとりあってくれないような問題に手を差し伸べる、一種の隙間産業なのかもしれない。

(過去の関連レビュー)
→ 『螺旋階段のアリス』

(TBさせてもらったblog)
→ [BOOK REVIEW]『虹の家のアリス』加納朋子 (tontonの終わりなき旅)


(関連書籍)
螺旋階段のアリス『螺旋階段のアリス』
著:加納朋子 (文春文庫)

不思議の国のアリス・オリジナル『不思議の国のアリス・オリジナル』
著:ルイス・キャロル 訳:高橋宏 (書籍情報社)
 ‘アリス’ファンにおすすめの一冊。
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コミュニティ( 本・雑誌 | 推理小説・ミステリー

『ハリーポッターと賢者の石』

ハリー・ポッターと賢者の石『ハリー・ポッターと賢者の石』 (→ 携帯版
原書:『Harry Potter and the Philosopher's Stone』 (→ ペーパーバック
著:J.K.ローリング 訳:松岡佑子 (静山社)

世界的ベストセラー‘ハリーポッター’の第一作。
確かに世界中の人を魅了するだけの魅力を秘めている。
ストーリー展開はおもしろく、読んでいる人を引きつける。

ぱっとしない主人公がある日突然、別の世界の有名人(や英雄)になる。はじめの設定自体はファンタジーの王道である。しかし驚くべきは、著者の発想の奇抜さだ。
プラットフォームに隠された魔法の学校行きの電車、もしかしたらここまでは考えつく人もいるかもしれない。だが、それが‘9と4/3番線’なんて誰が考えつくだろう。また魔法界の絵やお菓子などの小道具、それに授業の様子などどこも奇抜な発想のオンパレードである。

また‘ハリーポッター’シリーズはどの作品も、最終的な事件の真相や犯人をハリーやロン、ハーマイオニーなどとともに推理していくことになる。それが推理小説ばりに伏線が張り巡らされており、おもしろい。

さらに登場人物が魅力的である。ダンブルドアやハグリッド、ウィーズリー一家などもちろんだが、忘れてはならないのが、ダーズリー一家やスネイプ。ハリーにとっては‘嫌なやつら’であるが、作品を引き立てる名脇役である。

最後に、これらの魅力を上手く日本語に表現しなおしている訳者もまた素晴らしい。


(関連書籍)
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
著:J.K.ローリング 訳:松岡佑子 (静山社)

(関連商品)
ハリー・ポッターと賢者の石DVD『ハリー・ポッターと賢者の石』 (ワーナー・ホーム・ビデオ)
監督:クリス・コロンバス
主演:ダニエル・ラドクリフ




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コミュニティ( 本・雑誌 | ファンタジー小説

『こちらゆかいな窓ふき会社』

こちらゆかいな窓ふき会社『こちらゆかいな窓ふき会社』(ロアルド・ダールコレクション 15)
著:ロアルド・ダール 訳:清水 奈緒子 (評論社)

家の近くに、はげかけた「グラバー」という看板がかかり、ショーウィンドに「売れ出し中」と書いてある空き家があった。ビリーはそこを買い取ってお菓子屋さんをはじめたいと夢見ていた。
ある朝「売れ出し中」の文字は「売約じみ」になっていた。そして、さらに「はしご不要窓ふき会社」に変わった。

キリンとサルとペリカンというちょっと変わったメンバーの窓ふき会社。
ふつうのキリンやペリカンとは違うことできてどんなところでも窓ふきができる。
さて、お金持ちのハンプシャー公爵から窓ふきの依頼がくるのだが‥。

世界中の変わったお菓子もでてくるのだけど、そのお菓子の一個一個がまた魅力的。中にはあのワンカ社のお菓子も。

ロアルド・ダールらしい愉快なアイデアにあふれた話。
他の作品に比べ短めの話だし、終止ほのぼのとした雰囲気なのでロアルド・ダールの本を始めて読むという人や、小学校の低学年の子どもにもおすすめ。


(関連書籍)
(ロアルド・ダールコレクション)
1.『おばけ桃が行く』 訳:柳瀬尚紀
2.『チョコレート工場の秘密』 訳:柳瀬尚紀
3.『魔法のゆび』 訳:宮下嶺夫
5.『ガラスの大エレベーター』 訳:柳瀬尚紀
9.『アッホ夫婦』 訳:柳瀬尚紀
10.『ぼくのつくった魔法のくすり』 訳:宮下嶺夫
16.『マチルダは小さな大天才』 訳:宮下嶺夫




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