もみじの本屋 2006年09月

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『トリツカレ男』

トリツカレ男『トリツカレ男』 (新潮文庫)
著:いしいしんじ

主人公のジュゼッペ、彼こそがトリツカレ男である。
本当にさまざまなモノにとりつかれる。
オペラに三段跳び、探偵ごっこ、昆虫採集、外国語の通信教育、なぞなぞ、カメラ集め、潮干狩り、腹筋に背筋、誰もみたことがないほどばかでっかい雪だるまづくり、ナッツ投げ、そしてハツカネズミの飼育などなど。
ハツカネズミの飼育をしてたとき、ジュゼッペは親においていかれた人間の言葉をしゃべるハツカネズミと知り合い、親友のような、相棒のような、とてもいいパートナーになる。

一度とりつかれたら、一心不乱にそれに熱中、他のことは一切気が向かなくなる。
そして誰も敵わないくらいすごくなる。
そんな調子だから街のみんなもあきれて、ばかなトリツカレ男なんていわれるけど、でもみんなそんな彼を楽しみにしていて、実はすごく人気者なのだ。

ある秋の日、サンドイッチづくりにとりつかれていたジュゼッペは、サンドイッチをもってハツカネズミと公園に散歩に出かけるのだが、そこでまたとりつかれてしまう。
とりつかれてたのは風船売りの女のこ。
とにかくその女のこのためにいろいろなことをしてあげる。
女のこの笑顔に灰色のくすみを見つけると、ハツカネズミにたのんでその原因を探ってきてもらい、そして陰で解決してあげる。

この本のレビューをいろいろ読んで、純愛とかピュアなラブストーリーとかいろいろ書いてあったけど、その女のこのために尽くしてあげるその姿はまさに純粋な愛かもしれない。
そんななかおもしろいなと思ったのは「今までにはないタイプの、極上の王子様像。」という評。これはなるほどなって思った。
でも、この物語はジャンルで分けるならラブストーリーではないだろう。
いいジャンルを思いつかないがもっとさらりとした、それでいてやさしいジャンル。
だからラブストーリーがあまり好きでない人でもきっと楽しめる本。

シンプルな展開が心地よく、終盤はストレートに胸をうつ。
とてもおすすめの一冊なので是非読んでみてほしい。

(TBさせてもらった記事)
→ ◎「トリツカレ男」 いしいしんじ ビリケン出版 1365円 2001/10(「本のことども」by聖月)
→ いしいしんじ【トリツカレ男】(ぱんどら日記)
→ トリツカレ男      ~いしい しんじ~(My Favorite Books)


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『空を見上げる古い歌を口ずさむ』

空を見上げる古い歌を口ずさむ『空を見上げる古い歌を口ずさむ』 (講談社)
著:小路幸也

庭の桜の木にようやく蕾がついた日、凌一が仕事から帰ると、泣きはらしたような妻と捨てられた小犬のような顔をした息子の彰がいた。
「どうしたの」という問いに対して返ってきた言葉は「……のっぺらぼう」だった。
彰はまわりにいる人みんながのっぺらぼうに見えるようになったというのだ。
そこで凌一は「兄さんに、会わなきゃ」と思う。

二十年も前から一度も顔を合わせていない兄。
兄が姿を消す前、凌一に「いつか、お前の周りで、誰かが〈のっぺらぼう〉を見るようになったら呼んでほしい」と言ったのだ。
兄に連絡をとると、明日にでも来るという。
そして次の日、はるばる飛行機で、鞄一つもたずに兄の恭一はやってきた。

そして恭一は語りはじめる。
小学生の頃にあった奇怪な出来事を。

読みはじめてすぐに、物語に引き込まれてしまう。
そして、どんどんと先が気になってしまう展開、とても巧い。
いろいろと不可解な事件が起こり、途中まではまさに推理小説を読んでいるような感覚である。
雰囲気はどこかノスタルジックで、古き良き昭和というものも感じさせる。

終盤はかなりの急展開、推理小説風のストーリーから一転、少し現実離れしたような人たちが登場してきてまた違ったスタイルの小説になっていく。
推理小説好きの人は終盤で評価を下げてしまうかもしれないが、はじめからそういう作品であるとわかっていたらまた違うかもしれない。

登場人物もとてもいい。とくに恭一の友だちたちはすごく個性あふれるいいキャラクターだと思う。
「タンカス山へ」の他にも、もう少し子どもたちの活躍のシーンがあってもよかったのではと思うのは贅沢であろうか。

小路幸也のデビュー作にして、第29回メフィスト賞受賞作品なのだそうだ。
関連作品の『高く遠く空へ歌ううた』も気になるところ。

(TBさせてもらった記事)
→  「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 小路幸也 (今日何読んだ?どうだった??)


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(関連書籍)
高く遠く空へ歌ううた『高く遠く空へ歌ううた』
著:小路幸也 (講談社)




  小路幸也 トラックバック:2 コメント:2

『活!』

活!『活!』 (角川文庫)
著:群ようこ(本文)、もたいまさこ(写真文)

群ようこともたいまさこの二人組が、さまざまなことに挑戦していく。
スキーに保母さん、そば打ち、さらには顔マネに草野球。
体験中の写真や、群ようこの文章がまたおもしろい。
二人の個性的なキャラが全面にでていて、おもわず吹きだしてしまう。
そしてそんな二人の姿がかわいらしい。

もたいまさこの思い切りバットを振ったりお馬さんをしている写真、群ようこによる田村亮子やもたいまさこの顔マネ、女優もたいまさこや作家群ようこの知られざる一面を垣間見ることができる。

「リフレクソロジー」、「中国茶道」で登場する体育会系のエステティシャン、ミッシェル松山がまた強烈。
「わいがミッシェル松山じゃー」という怒濤のパワーに押されまくるも群ようことたいまさこも必見。

シンプルに笑えて元気になれる、そんなエッセイである。


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●共著/その他 トラックバック:0 コメント:0
コミュニティ( 本・雑誌 | エッセイ

「UDON」

UDON「UDON」 (2006 日本)
監督:本広克行
主演:ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本

まず何よりも讃岐うどんが食べたくなる映画。
太くてコシがある讃岐うどんがとにかく美味しそう。

テンポよくすすんでいき、笑いどころも満載。
小ネタにかなりお金をかけているように思った。
一瞬だけ登場する人たちのキャスティングがまた絶妙で、その人が出てきただけでも笑える。
途中トータス松本の「バンザイ」が聞けるのもお得な気がする。

展開は読めるのだけど、ここで終わりかなというところから2,3度「あれまだ続くの?」と思わされた。
結末はちょっと予想外だったけど、主人公、香助の子ども時代の回想から、なるほどという感じだ。
エンターテイメントとしてお薦めの映画。

→ 「UDON」公式サイト


(関連商品)
小説UDON『小説UDON』
著:東野ひろあき (メディアファクトリー)


UDON オフィシャルガイド『UDON オフィシャルガイド』
編:1週間編集部 (講談社)


UDONバイブル『UDONバイブル』
編:日経エンタテインメント! (日経BP社)


超麺通団3 麺通団のさぬきうどんのめぐり方『超麺通団3 麺通団のさぬきうどんのめぐり方』
著:田尾和俊 (西日本出版社)
「UDON」のモデルになった麺通団団長田尾和俊の本。

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コミュニティ( 映画 | 映画

『正しいひまわりの育て方』

正しいひまわりの育て方『正しいひまわりの育て方』 - 絵本 -
文・絵:津田直美 (ジー・シー・プレス)

おてんとう様も住む、美しい島の話。
黒い鳥の落とした種から大きなキノコが生えた。
キノコのせいで島には二つの穴があいてしまった。
それを悲しんだおてんとう様はとうとう病気になってしまう。
動物たちのためにおてんとう様はひまわりの種を渡す。

「私がお空にいないあいだ、この花に私の変わりをさせなさい。」
「ふつうにその種を育てればそれはただのひまわりになる。けれども正しく育てれば、きっと私と同じくらい大きくてあたたかな花が咲くでしょう。」


さてさて、動物たちは大きくてあたたかな花を咲かせることができるのだろうか。

美しい島、黒い鳥、二つの大きなキノコ、日本に落とされた原爆の比喩ということは容易に想像がつく。
だけどそこは物語のはじまりであって、この絵本はその先にある希望を描いてくれている。
もちろん、そんな比喩なんて考えなくても一つの絵本として十分に楽しめる内容だ。

パステル調のやわらかな絵で描かれる動物たちがとてもかわいい。
そして、表紙のおんどりがもっている植木鉢には‘today’と書いてあって、裏表紙のひよこの植木鉢には‘tomorrow’と書いてあるのがまたおもしろい。


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コミュニティ( 本・雑誌 | 絵本

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