もみじの本屋 2006年11月

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『ソレイユというなのふしぎな子』

ソレイユというなのふしぎな子『ソレイユというなのふしぎな子』 - 児童書-
著:さかきかずこ 絵:ふるやよう (草炎社)

ある日、まもるはイルカのたからものをなくしてしまう。
それを探してうさぎ公園にいくと、おじさんに、ホテルがたつからうさぎ公園はなくなるときかされる。
まもるがその公園にいるうさぎやこひつじやモルモットと心配していると、不思議な女の子がやってくる。
その女の子がやってくると、まもるの周りにいた動物たちはみんなその女の子ところへいくのだ。
その女の子にイルカのたからもののことをきくと、知っているという。

まもると不思議な女の子の不思議なお話。
まもるのたからものは見つかるのか、うさぎ公園の動物たちはどうなるのか。

先がどうなるかまったくわからない展開に、ページをめくるたびにワクワクする。そして読み終えたあとはあたたかな気持ちになっている。
また、ふるやようの絵が物語全体をやさしくつつみこんでくれる。

対象はいちおう小学1,2年生である。


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コミュニティ( 本・雑誌 | 児童書

『末枯れの花守り』

末枯れの花守り『末枯れの花守り』 (角川文庫)
著:菅浩江

「朝顔」、「曼珠沙華」、「寒牡丹」、「山百合」、「老松」の5つの短編からなる。

この世ならざる美しい面持ちの長世姫、常世姫。彼女たちは、花に想いを託すものたちの花心(カシン)を目当てに「永遠」を説いて、異界へと誘う。
姫君がたから「鬼」と呼ばれおそれられるのは、青葉時実。日照間さまの家臣である彼は五郎、十郎兄弟を従え、花と花心を守る花守りなのだ。

5つの話の中で好きなのは、唯一人ではないものの花心が狙われる「曼珠沙華」。
狐の坊やが、曼珠沙華が咲いたら来ると約束したみねこちゃんという女の子を待っている。
その想いは曼珠沙華に託され、その花心を姫君がたに狙われるのである。
姫君がたも時実も「今回は常とは異なる」というとおり、結末も他の4つの話とは違った形で描かれておりおもしろかった。

解説では夢枕獏が「鏡花の遺伝子」と評し、泉鏡花の物語の属性と同じ属性をもつと書いている。
泉鏡花の作品を読んだことがないので、それについては何とも言えないが、この本の世界観、登場人物、そして文章の端々には「和」の美しさがあふれている。耽美で艶やかな世界はまことに京都出身の菅浩江らしい。
是非、この雅な世界観を味わってみてはどうだろうか。


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『殺人!ザ・東京ドーム』

殺人!ザ・東京ドーム『殺人!ザ・東京ドーム』 (講談社文庫)
著:岡嶋二人

「密かに日本に持ち込まれた南米産の猛毒クラーレ。巨人対阪神戦に沸く東京ドームで、この毒を塗った矢による殺人事件が発生した。大観衆五万六〇〇〇人の面前にもかかわらず、犯行現場の目撃者は皆無。……」(裏表紙より)


あらすじはまさに上記の通りである。
この作品は推理ものではなくサスペンスなので、最初から毒を持ち込んだ人物や殺人犯が誰なのかがわかっている。
またなぜ犯人が犯行に及んだのかについても読者は犯行が行われる前から知っているのだ。

この本のおもしろいところは、ひとつは久松敏彦という登場人物の描写である。周囲からずっと馬鹿にされ続けてきて自分に自信をもてなかった彼、虫を針でとめて写真を撮るという趣味もち、珠美という家の近くのクリーニング店の店員に恋している。そんな彼がある日突然大きな力を手に入れるとどうなるのか。

犯人や警察など登場人物の思考もまたおもしろい。犯人の真意と警察や犯人を脅迫する人物が考えていることとのずれを読者は楽しむことができるのである。

テンポもよいので、飽きることなく最後まで楽しむことができる。
この作品は『99%の誘拐』と同じく1988年の作品であるが、岡嶋二人の作品にはやはり時代の先見性というものを感じさせられ驚かされる。


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『スキップ』

スキップ『スキップ』 (新潮文庫)
著:北村薫

いわゆる「時と人の3部作」の一つである。
昭和40年代初め、高校2年生の一ノ瀬真理子は千葉の女子校に通っていた。体育祭や文化祭に青春を謳歌する彼女。

体育祭の日、雨が降り出し途中で中止になってしまう。親友の池ちゃんと体育館ですこし話したあと家に帰り、いつものように応接間においてあるステレオでクラシックのレコードをきいていた。
そしてついうとうととしてしまう。


目が覚めた時には音楽はとまっていた。
いやそれどころか違う時、違う場所にいたのである。
彼女は42歳の一ノ瀬真理子になっていた。

17歳の真理子がタイムスリップしたのか、それとも42歳の瀬真理子が記憶喪失になってしまったのかはわからない。
しかし、心は17歳、体は42歳、そして夫も娘もいるという事実にただただ困惑する。
さらに、真理子は高校の国語教師として働いていたのだ。

25年の変化した部分、昭和40年の流行、そして高校の描写、どれも丁寧に描かれていて感心した。
また読み終えたあとのなんとも言えない爽やかな感じ、好感を持てる素敵な登場人物、さすがは北村薫である。

今の自分を形づくる、大切な記憶。
時は不可逆的であり残酷に流れる。
しかし、だからこそ一生懸命に今を生きたい。
読み終えて、そんなことを思ったりした。


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(関連書籍)
ターン『ターン』
著:北村薫 (新潮文庫)

リセット『リセット』
著:北村薫 (新潮文庫)
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『99%の誘拐』

99%の誘拐『99%の誘拐』 (講談社文庫)
著:岡嶋二人

昭和43年、一人の子どもが誘拐された。
子どもの名は生駒慎吾、「イコマ電子工業」という小さな会社の社長生駒洋一郎の息子である。身代金として五千万円分の金を要求され受け渡しをする。
しかしこの事件は、その後の「三億円強奪事件」によって人びとの記憶からは消えてしまう。

昭和51年、生駒洋一郎は慎吾への手記を残し病死する。

昭和63年、生駒慎吾はイコマ電子工業を吸収合併したリカード・カメラの研究員として働いていた。
そしてその年、リカードの社長武藤為明の孫、葛原兼介が誘拐された。

これは1988年の作品であり、登場するパソコンや簡単なインターネット用語、さまざまなOA機器にはどうしても古めかしさを感じる。
しかし、それはこの本を読む上でたいした問題ではない。ストーリーは今読んでも新鮮味さえ感じてしまう。
そして、その見事な誘拐劇にぐいぐいと引き込まれてしまう。
逆に、機械関係の古めかしさは、いま読むと多くの人が理解できる内容で、今だからこそ読みやすい作品となっている。

第十回吉川英治文学新人賞受賞、2005年版『この文庫がすごい!』「ミステリー&エンターテインメント」編第1位の作品、是非、岡嶋二人の傑作誘拐推理小説をどうぞ。


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