もみじの本屋 2007年11月

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『あしたはアルプスを歩こう』

あしたはアルプスを歩こう『あしたはアルプスを歩こう』 (講談社文庫)
著:角田光代

ある日、角田光代のところに「イタリアの山で、トレッキングしませんか?」というファックスが届いた。それは今を時めく作家に海外でトレッキングをしてもらいそれを番組にするというテレビの仕事であった。そしてトレッキングってなんぞやと思いながらもその仕事を引き受ける。

内容はドロミテ・アルプスでの雪中トレッキング(むしろ登山?)をメインに、スタッフや現地の人たちとの出会いや会話などが盛りだくさんである。
第4章の「羊飼いたちの村」はトレッキングの話ではないが、印象的だった。この章はアグリツーリズモについて書かれているが、すごく楽しそうだ。あまりに楽しそうだったので、思わず、そこに登場した南瓜のニョッキをつくってしまったほどだ。

また案内役のマリオさんとの会話の内容も考えさせられるものがある。
その会話を引用したいところであるが、ここに書いてしまうと薄っぺらになってしまう気がするので、内容はぜひ、本を読み、角田光代と一緒にトレッキングを体験しながらその中で噛みしめてほしいと思う。

紀行エッセイということで、イタリアの大自然がいっぱいに詰まった一冊である。読んでいると、自分もその大自然の中を一緒に歩いているような気になってくる。気軽に読め、誰でも楽しめる一冊ではないだろうか。


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  角田光代 トラックバック:1 コメント:0
コミュニティ( 本・雑誌 | エッセイ

『こうちゃん』

こうちゃん『こうちゃん』 - 絵本 -
文:須賀敦子 絵:酒井駒子 (川出書房新社)
あなたは こうちゃんに あったことが ありますか。
こうちゃんって どこの子かって。そんなこと だれひとりとして しりません。 (本文より)


どこからきたのか、どこへいくのか、そんなことは誰にもわからない、こうちゃん自身にもわからない、それがこうちゃん。
でも読んでいると、こうちゃんの存在をたしかに感じるのだ。そしてそして不思議な懐かしかささえ感じる。

本のなかの‘わたし’と本を読んでいる‘わたし’とそしてこうちゃん、この三者は平行に引かれた3本の線のように、一定の間隔を保っている。

ふつうは物語の登場人物に感情移入すればするほど、その物語が愛おしく、自分に寄り添ってくる。しかし、この本ではその一定の間隔が、逆に物語を愛おしくさせ、‘わたし’を愛おしくさせ、こうちゃんの存在を愛おしくさせる。そして、ことばのひとつひとつがとても心地よく胸に染入ってくる。

酒井駒子の絵は、須賀敦子の異国情緒を感じさせるだけど日本らしさのある文章に素晴らしくマッチしている。特に赤色の使い方がうまいなあと思わされた。


読み終わったとき、胸を締め付けられるような思いに駆られた。それはまるで大切な人との別れのように、切なくて、かなしくて、やるせいないような感覚だった。
どうしてだろう。
これまでに自分が失ってきたものに対する思いなのだろうか。

(いいなと思った記事)
●  こうちゃん (まっしろな気持ち)
 …… 素敵な思い出と妄想にうっとりさせられる。



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以下は備忘録として、特に印象的だったところを簡単に記しておく。
読んだときの印象を損ねてしまうかもしれないので、本に興味をもって、これから読むという人は気を付けて。

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  須賀敦子 トラックバック:1 コメント:2
コミュニティ( 本・雑誌 | 絵本

「ペイ・フォワード 可能の王国」

ペイ・フォワード「ペイ・フォワード 可能の王国」原題:Pay it forward (2000 アメリカ)
監督:ミミ・レダー
主演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント

新しい先生に、社会科の課題をだされる。それは「Think of idea to change our world ― and put it into ACTION!(世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!)」というもの。
主人公のトレバーが考えたのが、自分が受けとったやさしさや善意を、その相手に恩返しする代わりに、別の3人に渡すというものであった。

トレバーはホームレスの男性と、社会科の先生であるシモネット先生と、同級生のひとりに善意を受け渡すことにする。さて結果はどうなるのか・・。


他人に親切してもらうと、自分もやさしい気持ちになる。そして、自分も人に優しくしようと思う。だれにでもそんな経験があるのではないだろうか。
たとえば、しんどい時に電車で席を譲ってもらったりとか、車のタイヤが溝にはまってしまった時持ち上げるのを手伝ってもらったりとか。

そういった優しさがつながっていくことは、なんだか嬉しい。



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ペイ・フォワード書籍『ペイ・フォワード』
著:キャサリン・ライアン ハイド (角川書店)
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コミュニティ( 映画 | 映画感想

『おばけものがたり』

おばけものがたり『おばけものがたり』立原えりかのファンタジーランド2 (青土社)
著:立原えりか

大きな湖の底に住んでいるタムタムおばけ。足の長さが3メートルもあり、あたまにはつの一本がある。だけど、気は弱いほうだった。

おばけたちはとても心やさしく、人間と仲良くしたいと思っている。
だけど、人間が勝手に怖がったり、悪さをするものと思っていたり、また見世物にしようとして捕まえたりするのだ。
それに危険を感じたおばけたちは、ある日、おばけのくにを解散して、みんなばらばらになって人間の目につかないところで暮らすことにした。そんなわけでタムタムおばけは湖の底に住んでいた。

解散式の時に、おばけたちは再会を誓いあって悲しい別れをした。タムタムおばけも、いつか一緒に暮らそうと約束をしてとっても仲のよかったジムジムおばけとも別れたままなのだ。

ある日、湖のお化けを捕まえたら100万円をくれるという立て札が立った。そして人間たちがシュークリームを餌にしてお化けを釣ろうとしはじめる。
そんなことで本当にタムタムおばけが釣れるわけはないのだけど、タムタムおばけは湖の底に沈んできたおいしいシュークリームを集めて、ジムジムおばけのところに会いに行く。
そして二人だけで暮らすために海にでる。

ほかにもタムタムおばけとジムジムおばけの友達のコチコチおばけとカチカチおばけやロムロムおばけとリムリムおばけなど、いろいろな心やさしいおばけが登場する。

人間は騙したり、乱暴したりする存在として描かれているがそのとおりなのだろう。
ときどき、ロムロムおばけやリムリムおばけが出会ったような心やさしい人間もいるのだろうけど。
このあたりの描かれ方は著者の皮肉がたっぷりで、いっそ愉快である。
とくに結末は、思わず苦笑いしてしまった。

講談社青い鳥文庫でも出版されたが(絶版)、こちらはやなせたかしの挿絵があるそうだ。


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  立原えりか トラックバック:0 コメント:0
コミュニティ( 本・雑誌 | ブックレビュー

『氷菓』

氷菓『氷菓』 (角川文庫)
著:米澤穂信

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」をモットーとする折木奉太郎、高校に入学した彼は姉からの手紙で3年間入部者0の‘古典部’に入部することになる。

放課後、友人で似非粋人、減らず口がトレードマークの福部里志との雑談のあと、部室である地学講義室に行ってみるとそこには清楚な容姿の女の子が立っていた。名前は千反田える、古典部に入部したという同級生であった。

彼女は見かけとは裏腹に好奇心爆発少女、気になることがあると「わたし、気になります」とそのことを考え出す。
それに巻き込まれ、省エネ主義のホータロー(奉太郎)も一緒に考えさせられる羽目に。

ホータローと小学校以来9年間も同じクラスだったという伊原摩耶花も加え、4人は古典部の文集「氷菓」と古典部の過去に秘められた謎に迫っていく。

もともとが角川スニーカー文庫ということで、ライトノベルらしく、キャラの設定は面白いし、肩の力を抜いて読むことができる。さらに、読んでいて飽きないおもしろさ。
読後感は、事件で人が死んだりしないにも関わらず少しほろ苦いものがある。これはネタばれになるので詳しくは書けないが、ある人物の個人史によるところが大きい。

米澤穂信のデビュー作、興味をもたれた方はぜひどうぞ!


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(関連書籍)
愚者のエンドロール『愚者のエンドロール』
著:米澤穂信 (角川文庫)

クドリャフカの順番『クドリャフカの順番』
著:米澤穂信 (角川文庫)

遠まわりする雛『遠まわりする雛』
著:米澤穂信 (角川書店)
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コミュニティ( 本・雑誌 | 推理小説・ミステリー

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