もみじの本屋 2009年03月

『小春日和』

小春日和『小春日和』 (集英社文庫)
著:野中柊

小春日和とは晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴れた天候のことである。
それなのに、3月生まれで小春と日和と名づけられた双子の姉妹の物語。

母の勧めでタップダンスを習い始め、夢中になっていく。
また、それがきっかけでケチャップのCMにでたことで慌ただしくなっていく二人の周囲。

全体の雰囲気はのんびりとしていてあたたかで、まさに小春日和といった感じである。
また1967年生まれの二人が小学生のころの話が描かれているので、懐かしき昭和が感じられ郷愁を誘われる。

ただ、最近推理小説ばかり読んでいたせいだろうか、ラストがぼやけた感じでちょっと物足りなさを感じてしまった。
しかし、それもまたこの本の味のようにも思う。
読み終えたあとのふわりとした感覚がなんともいえない一冊である。



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コミュニティ( 本・雑誌 | ブックレビュー

『結婚しないかもしれない症候群 男性編』

kekkonotoko『結婚しないかもしれない症候群 男性編』 (角川文庫)
著:谷村志穂

谷村志穂が独身男性20人にインタビュー、独身男性の考えや思いに迫る。

この本は一気に書き上げるつもりでいる。私にとってノンフィクションにすべき素材とは、あまりに活きがいいから、そのままお皿にのせたいお魚のようなものなのである。(本文中より)


と著者自身も書いているように、聞いた話ありのままが書かれている。
それは、その人の生き方の一端を垣間見せてくれるし、また共感する部分や反感を持つ部分、感心する部分などもあり、自分自身が如何に生きていくかということの参考にもなる。

『結婚しないかもしれない症候群』よりも新しいとはいえ、1996年ごろに書かれたものと少々古いので、今と比べると多少違和感をおぼえる箇所もあるが、基本的に人の考えや思いなんていうものはいつの時代も一緒なのだなとも思わせてくれる。

もちろん結婚や恋愛についても考えさせられるし、またこんな人もいるのかという参考にもなる、おもしろく、また貴重な一冊であるだろう。


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(関連書籍)
結婚しないかもしれない症候群『結婚しないかもしれない症候群』
著:谷村志穂 (角川文庫)
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コミュニティ( 本・雑誌 | ノンフィクション

『死神の精度』

ryuuguu『死神の精度』 (文春文庫)
著:伊坂幸太郎

死神が主人公という一風変わったミステリ。
千葉と名乗る主人公は調査部に所属しており、仕事は指示された人間を1週間調査して、その人間の死の可否を決めるというもの。

6つの短編からなっており、それぞれに千葉が調査する対象が登場する。そして千葉は毎回その相手に適した姿をしている。

どの話も飽きずに読めるのだが、それは物語のテンポがよいのではなく(もちろん悪くもないが)、登場人物が生き生きと描かれていることや、死神である千葉が普通の人間とは違った受け答えをすることによって調査対象者やほかの登場人物との会話がおもしろいことによると思う。

また短編連作としてのまとめかたも、さすがは伊坂幸太郎と思わせる巧いものであった。
『アヒルと鴨のコインロッカー』や『重力ピエロ』などでももちろんいいのだが、個人的には初めて伊坂幸太郎を読むのであればこの本をおすすめしたい。


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