もみじの本屋 2012年01月

『プリズムの夏』

プリズムの夏『プリズムの夏』 (集英社文庫)
著:関口尚

第15回小説すばる新人賞受賞作品。掘り下げ方が甘いなと感じる部分はあるが、デビュー作ということを差し引けば十分に楽しめる作品である。

映画好きの高校3年生の二人。映画館で働く女性にほのかな恋心を抱いている。
一方で二人はネットで鬱日記に興味をもつ。
また二人は進路にも悩み、一人は父親のことでも頭を悩ませる。
苦悩と葛藤の中でもひたむきに前へ進もうとする二人には好感がもてた。

個人的に残念だったのが、二人が恋心を抱く松下さん、彼女の人物像がどうも好きになれなかった。
何がと書いてしまうと物語の核心に触れる必要があるので書けないが、どうも彼女の性格や描写に違和感を感じてしまった。

読み終えての感想は少年の成長を描く児童文学に近いものを感じたが、シンプルなストーリーで読みやすくさっぱりとした作品だったなと思う。


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『つむじ風食堂の夜』

つむじ風食堂の夜『つむじ風食堂の夜』 (ちくま文庫)
著:吉田篤弘

いつもつむじ風がひとつ廻っている十字路の角に、ぽつんと食堂はあった。
食堂のあるじは「名無しの食堂」を気取っていたが、客たちの誰もが、つむじ風食堂と呼んでいた。

この物語の主人公は雨降りの先生。

とても静かで、でもどこか懐かしい、そんな物語。



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『グッドラックららばい』

グッドラックららばい『グッドラックららばい』 (講談社文庫)
著:平安寿子

母親が家出。しかし父親も姉もまったく動じず、妹の立子だけが泣き、起こっている。
我が道を行く片岡一家4人。その4人を中心に、その家族に関係してくる多くの人たちが織りなす物語。

なにがおもしろいかというと、片岡家のわがままとも思えるほどのマイペースさである。
読み始めて、あまりにマイペースな家族に対して、それでいいのかと疑念を抱いてしまったが、さらに読み進めていくとだんだんとそのマイペースさがツボにはまっていく。
家族の飄々としたそのマイペースさと、それにたじたじになってしまう周りの人たちとのやりとりに思わず笑ってしまう。

中でも個人的に好きな場面は、第二章後半の父親と及川とのやりとりや第五章のラストの立子と寺田佳江との電話でのやりとり、あと第六章の綺羅と片岡家のやりとりである。

読み終えて、たとえ家族でも自分は自分、人は人とあたりまえのことを再認識させられた。


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