もみじの本屋 2012年02月

『小さいつが消えた日』

『小さいつが消えた日』 (新風社)
文:ステファノ・フォン・ロー 絵:トルステン・クロケンブリンク 

ステファノ・フォン ロー 新風舎 2006-11
売り上げランキング : 267310
by ヨメレバ

   →新しく三修社からでているようです

ある日、大好きな印刷所のおじいさんが話してくれた話。

文字にも人間や動物と同じように魂があって、それぞれの文字には性格もあって、いいやつもいれば、意地の悪いやつもいるし、強みもあれば、弱点もある。
この五十音たちの性格が、読んでいてなかなかに特徴をつかんでいておもしろかった。

さて、物語の主人公の小さい“つ”だが、とてもかわいい男の子で、ユーモアがあって観察力に優れている。いつも周りに気を配り、相手の立場で物事を考えている。ただ、彼は口がきけない。
そんな小さい“つ”が、ある出来事をきっかけにいなくなってしまう。

五十音がキャラクターという発想はおもしろいし、ストーリーもとてもまっすぐで、子供も大人も楽しめる作品だろう。
また必要のないものなんていないというメッセージもはっきりと伝わってくる。
三つの思い出にはじまり、三つの習慣で話が終わるところもおもしろいし、そこで終わりかと思いきや小さい“つ”がその後どうなったかというところにまで、それが掛かっていて最後はにやっと笑ってしまった。

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コミュニティ( 本・雑誌 | ブックレビュー

『蟹塚縁起』

蟹塚縁起『蟹塚縁起』 - 絵本 -
文:梨木香歩 絵:木内達朗 (理論社)



「あなたがその恨みを手放さぬ限り。」




真夜中、蟹の行列が家の床下を通って隣りの山の沢の方へ移動していた。

とうきちはおどろきあきれて後をついて行く。

その先には。

とても静かなそれでいて力強いと思わせる話だった。

それに、その地に脈々と流れるものも感じさせる。

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『ペンキや』

ペンキや『ペンキや』 - 絵本 -
文:梨木香歩 絵:出久根育 (理論社)

しんやというペンキやの話。
ペンキ塗りはお客の注文の色をつくり出さなければならない。
それがけっこうむずかしい。

しんやのお父さんもペンキやだった。
お父さんはしんやが生まれる前にフランスに渡り、しんやと一度も会うことなくフランスで亡くなった。
お母さんが言うには、フランスの芝生の綺麗な公園の中にあって「不世出のペンキや ここに眠る」と書いてあるのだそう。

しんやはお父さんの墓をたずねに行きたくなり船に乗り込む。
そこでユトリロの白で船を塗ってくれと頼まれる。

ユトリロの白……喜びや悲しみ 浮き浮きした気持ちや 寂しい気持ち 怒りやあきらめ みんな入ったユトリロの白 世の中の濁りも美しさもはかなさも

絵も文も静けさや物悲しさを運んできてくれ、心穏やかな気持ちにしてくれる。
読み返すたびに、すとんとはまり込むような、心に馴染む絵本だった。


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