もみじの本屋 2012年03月

『うさぎパン』

うさぎパン『うさぎパン』 (幻冬舎文庫)
著:瀧羽麻子

私立の女子中学校から共学の高校へと進学した優子、一貫教育の学校から離れ周りは知らない人だらけの高校生活。
不安いっぱいの中での自己紹介、好きなものを聞かれて思わず「パンです」と答え、それに応えてくれた富田くん。
それをきっかけに富田くんと仲良くなり、はじまったパン屋巡り。

義理の母親のミドリさん、物理学を専攻する院生の家庭教師の美和ちゃん、いろんな登場人物に囲まれて優子の高校生活は流れてゆく。

とてもかわいらしくてシンプルで、でもそれでいてしっかりとした物語。
まるで優子の好きな、シンプルで、生地もかための素朴なパンのような物語。
ゴテゴテとした修飾もほとんどなく、物語の中心だけをやわらかく大切に語ってくれる。

わたしは基本的にシンプルなパンが好きだ。生地もかための素朴なのがいい。小麦粉だけでなく、全粒粉やライ麦粉などのバリエーションもおいしい。プレーンもいいけれど、トッピングとしては、レーズンやいちじくなどのドライフルーツ、チーズ、あとはハーブなども大歓迎。(本文より)

「うさぎパン」の後には、書下ろしで「はちみつ」という美和ちゃんの幼馴染の話もある。


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『ペンギンの憂鬱』

うさぎパン『ペンギンの憂鬱』 (新潮クレストブックス)
著:アンドレイ・クルコフ 訳:沼野恭子

ウクライナの首都キエフで暮らす主人公のヴィクトルは、動物園から引きとったペンギンのミーシャと暮らす売れない短編小説家。短編小説の持ち込みをしたことをきっかけに新聞の追悼記事をあらかじめ書いておく仕事を始めるが……。

話が進むにつれ、ヴィクトルのもとには<ペンギンじゃないミーシャ>の娘のソーニャと、友人のセルゲイの姪のニーナとともに暮らすようになる。彼らの関係も微妙なバランスのうえで成りたっており、妙な不安定さを感じる。
常に恐怖がつきまとう日常、でもそれが淡々と淡々と描かれてゆく様子は、なんだかシュールレアリスムの絵画を見ている様だなと思った。

寺田順三の描いた表紙がとても可愛いく、おそらくソーニャとミーシャなのだろうが、とても微笑ましい。


以下は備忘録も兼ねて、本書より気になった箇所を何箇所か抜粋しておきたいと思う。



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『七人の敵がいる』

七人の敵がいる
『七人の敵がいる』 (集英社文庫)
著:加納朋子

主人公の陽子は働きながら子育てもこなす兼業主婦(ワーキングママ)である。
彼女の男勝りで思ったことは物怖じせず言ってしまう性格から、ついつい周りに敵をつくってしまう。
そんな彼女は息子の陽介の小学校入学によって、PTAや学童などの活動、言ってしまえばお金ももらえないボランティアに時間を割かれ、奮闘することになる。

PTAだとか学童だとかなんだかややこしいテーマを書いたんだなと思いつつ、加納朋子のファンとしてはそれをどう料理したのか楽しみに読んだ。
加納朋子の作品にしてはラストが強引かなと思わなくもないが、こういった痛快な小説の形をとりながらも、世に一石を投じたかったのだろうなと感じ、これはこれで加納朋子らしいのだろう。

あと加納朋子の作品に出てくるだいたいの子供たちがそうであるように、この作品の子供たちもとても素直で、それが日だまりの様でなんだか嬉しくなってしまう。





(関連書籍)
tukinosabakuwosabasabato『レインレイン・ボウ』
著:加納朋子 (集英社文庫)

→ レビュー



tukinosabakuwosabasabato『我ら荒野の七重奏』
著:加納朋子 (集英社)

→ レビュー






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