もみじの本屋 2017年07月

『百鼠』

百鼠
『百鼠』 (ちくま文庫)
著:吉田篤弘





一角獣

百鼠

到来


(目次より)


「この目次で書いてみたい」という思いから出来上がった本。

表題作の「百鼠」は、天上でくらす朗読鼠のイリヤが一人称に興味を持ってしまう話。
百鼠は地上の三人称を司っており、朗読鼠は地上で作家が三人称の小説を書くときに降りてくる声を担当している。
そして「三人称法典」というものがあり、一人称や二人称を使うことができない。

なんとも愉快な設定である。

3つの話に共通しているのは、主人公がちいさな冒険ででること、人称についての話、そして雷である。
まったく違う話の様で、根底にあるテーマは同じなのだと気づかされる。

いずれも静かな文章で、美しい世界がつくりあげられている。




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『満願』

満願
『満願』 (新潮社)
著:米澤穂信


6つの短編がおさめられている。
いずれもいい意味で薄気味悪く、耽美な物語という印象をもった。

個人的に謎が謎のままというもやっとした終わり方は好まないので、著者があまりそういった終わり方をしないことを信頼しつつ読んだ。
期待通り、伏線はしっかり回収し、謎はスッキリと解決。

だが謎が解決されつつもハッピーエンドとは限らないのもこの著者の持ち味。
そこに展開がどう転ぶかわからない楽しさがある。
この本に納められている6篇も、絶妙な塩梅だった。

個人的には表題作の「満願」が最も好みだった。

刑期を終えて出所した鵜川妙子。彼女の家に学生時代に下宿していたのは、弁護士の藤井である。

妙子は殺人を犯したことによって刑務所に入っていたのだが、その事件で妙子の弁護をしたのも藤井である。
世話になった妙子のために、少しでも罪を軽くしようとする藤井であるが、あるとき突然妙子は「もういいんです」と言い、控訴を取り下げる。

裁判であらそうことに積極的だった妙子が、なぜ突然控訴を取り下げると言い出したのか。






以下ネタバレ。


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