もみじの本屋 『からくりからくさ』

『からくりからくさ』

からくりからくさ『からくりからくさ』 (新潮文庫)
著:梨木香歩

祖母が残した古い家で、染色の修行中の蓉子(と蓉子が大切にしている市松人形のりかさん)、鍼灸の勉強中のマーガレット、紬の研究をしている紀久とキリムの研究をしている与希子の4人は共同生活をはじめる。その共同生活のなかで様々なことが起こり、また宿世の縁とでもいうべきようなことがわかってくる。そういう場面を読んでいると何度も鳥肌が立った。またそんな事実や出来事から4人が成長していく姿も描かれている。
この作品は読んでいるといろいろと伏線が張り巡らされていたりして、多分にミステリーの要素も含んでいると思う。読んでいると話の中に「大伯母」や「曾祖母」などがたくさんでてきて、すこし混乱してくる。途中、本気で家系図を書こうかとおもったほどだ。
途中、おそらく祖母の家との対比のために‘高層ビルの建築への反対運動とそれを押し切ってすすめられる工事'や‘国道に大型量販店やファミリーレストランのチェーン店、パチンコ店などが延々と続く描写'などがさり気なく、たくさんでてくるのだが、これは一方であわただしい社会への警告のようにもとれる。
さらに個のアイデンティティーや人種の問題までも含まれているので、なかなかに重みのある本である。が、そこは梨木香歩独特のさらさらとした文章でさほど重く感じない。
かなり味わい深い一冊であるが、対象年齢は高いかもしれない。
この本を読むのであれば、順番はどちらが先でもいいと思うのだが、あわせて『りかさん』を読むこともおすすめする。ちなみに時系列の順に読みたいのなら、『りかさん』の「りかさん」、『からくりからくさ』、『りかさん』収録の「ミケルの庭」の順番だ。


(関連書籍)
『りかさん』 梨木香歩 (新潮社文庫)
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からくりからくさ 梨木香歩

梨木さんには、毎度毎度驚かされる。この本について、いくつか他のブログで書評などを拝見していたのですが、単純に人形のりかさんが出てくる物語なんだなぁという、漠然とした印象しか持ってなかったのです。これを見事にはずしてくれました。確かに、りかさんにまつわる話

2005年10月26日 くろにゃんこの読書日記