もみじの本屋 『りかさん』

『りかさん』

りかさん『りかさん』 (新潮文庫)
著:梨木香歩

主人公のようこはリカちゃん人形が欲しかったのだ。そしておばあちゃんに頼んだが、送られてきたのは真っ黒の髪の市松人形だった。そう、この市松人形がこの本のタイトルであるりかさんだ。
『からくりからくさ』を読んで、りかさんのはなんでも知ってて物静かな知的な感じなのかなと、イメージを勝手にふくらませていたのだが、想像とはちがって意外とお茶目な人形だった。
『からくりからくさ』との関連で何度もぞくっとさせられる部分もあった。例えば‘アビゲイル’を抱いたマーガレットという女性のことや、‘三つ折れの衣装人形’がもともとS市の井之川さんのところにあったということなどである。これ以上書くとネタバレになってしまうので控えるが、『からくりからくさ』に内包されている宿世の縁がこの『りかさん』にも深く及んでいるのである。
もちろん、『からくりからくさ』を読んでいなくても、十分に楽しめる内容であるし、この本を読んでから『からくりからくさ』を読んでみるのもいいだろう。

「ミケルの庭」は『からくりからくさ』の後の話である。
『からくりからくさ』から読んだものとしては、再び、蓉子や与希子や紀久に会えるのは嬉しい限りである。
『りかさん』という本の中で「りかさん」のあとに収められていることで、蓉子が紀久の背中を撫でる場面がとても生きている。そして、『からくりからく』の中でみんながいっていた蓉子の(慈しむとか尊ぶとかそういったものが自然に出るという)特性がとてもよくでているワンシーンであると思う。
ラストの場面でミケルがつかまる蔓はやはり唐草なのであろうか。
「りかさん」とは違い、この「ミケルの庭」に関しては、『からくりからくさ』を読んでいないと、おもしろさが半減してしまうかもしれない。

(過去の関連レビュー)
→ 『からくりからくさ』

(TBさせてもらったblog)
→ 「りかさん」「からくりからくさ」梨木香歩(日だまりで読書)
→ りかさん 梨木香歩(くろにゃんこの読書日記)
→ りかさん / 梨木香歩(活字中毒)


(関連書籍)
からくりからくさ『からくりからくさ』 梨木香歩 (新潮社文庫)
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  梨木香歩 トラックバック:4 コメント:16

コメント

ネコジャラシ‥エノコログサですよね?
イネ科の植物だし、麦茶などを考えると意外と香ばしくて美味しいかもしれませんね。

昔、ドクダミでお茶をつくりましたが、とっても苦かった記憶があります。

2006 01/13 大葉 もみじ 編集


そ、そうか~。やっぱり?(笑)
以前、テレビで芸能人がネコジャラシの穂をから煎りして、お茶にしていました。おいしいのかな~と、今でも気になっています。どうなんだろう???

2006 01/13 そら 編集


ほんとだ、迷子になってるみたいですね。
改めてTBさせていただきますね。

梨木香歩さんの作品、どれも細部にまでこだわりが見られますよね。
時々、推理小説を読んでいるような感覚に陥る時があるます。
そして、「ミケルの庭」を含め『りかさん』と『からくりからくさ』の唐草のように絡み合った関係は何度読んでも驚嘆させられます。

庭の草、『からくりからくさ』を読んでいると、食べてみようかなという気になってきますよね。
美味しく食べられる植物はそれほど多くなく、また食べられない植物は非常に少ないそうですよ。大部分は食べても大丈夫だけど、全然美味しくないのだそうです。
一度‘食べられる野草’とかいった類の本を買ってみようかな。

2006 01/12 大葉 もみじ 編集


この記事、拙ブログにTBしてくださっていたんですね。
今頃どこにいるのやら。。。迷子になっているようで、今頃気づきました。
TBありがとうございました♪

「りかさん」と「からくりからくさ」、そして「ミケルの庭」。
全部がうねうねと絡み合っているその感じが、難しくもあり、感動でもありました。もしかしたら、まだ私が気がついていない「絡み」があるのではないかな~と思います。
また、機会を見て読んでみたい作品です。
庭の草…本当に食べられるのかな~。ついついうちの雑草だらけの庭を見つめてしまいました(笑)

2006 01/12 そら 編集


みわさん、はじめまして!
コメントありがとうございます。

この本を読んで、人形の存在を見直しました。
そして、今持っている人形をもっと大切に扱おうと思わされました。
人形を吸い取り紙と書く、梨木さんの感覚はすごいものだと感心させられます。
よんでいると、こっちまでいろいろなものにやさしくできそうに思える素敵な作品ですよね♪

『西の魔女が死んだ』の「渡りの一日」やこの本の「ミケルの庭」のように、後日談を書き加えてくれるところも嬉しいですよね。
それもそれまで持っていたイメージを崩さないように書かれてあるところがすごいと思います。

2005 11/08 大葉 もみじ 編集


梨木さんの世界って素敵ですよね。
からくりからくさに続き、りかさんを読みました。
ミケルの庭では、またあの4人に会えて嬉しかったです。
ミケルのことを思うと、やっぱり先にからくりからくさを読んだ方がよさそうですよね。

りかさんには蓉子が優しい人間になった根本みたいなものが見れて
より一層からくりからくさがおもしろく感じた気がします。

2005 11/07 みわ 編集


「読書レビューラボ」の運営者さんとお呼びしたらいいでしょうか?
はじめまして。そして、コメントありがとうございます。
うちのブログもかなり勢いで書いていますし、一緒ですよ。
blog「読書レビューラボ」もこれからたくさん記事が増えていくと思うし、期待しています。

2005 10/31 大葉 もみじ 編集


はじめまして、「読書レビューラボ」の運営者です。うちのサイトへの訪問ありがとうございました。
わたしはブログを始めたばかりでかなり勢いだけでレビューを書いていたのですが、こちらのブログを見て悔い改めました w
がんばります。

2005 10/30 読書レビューラボ 編集


はじめまして!コメントありがとうございます♪
自分の好きな本ばかりを読み漁っているので、ジャンルに偏りはありますが、すこしずつ本の紹介させて頂いております。

> 何を読んでいいのかわからない
そうなんですよね。本は星の数ほどあるので、どの本が自分を満足させてくれるのか、そんな本に出会うのはなかなか至難ですよね。
ここのレビューが少しでも参考になれば幸いです。

> リンク
はっていただけるのですか?
たいへん光栄です。ありがとうございます!!
リンクフリーですので、どうぞ好きなようにはってやってくださいませ。

2005 10/28 大葉 もみじ 編集


はじめまして、oriveaさん!
コメントありがとうございます。

『西の魔女が死んだ』のラスト、とっても好きです。
「まい」に感情移入してしまうということもあるのだけど、はじめの方にあったあの描写がここで活きてくるんだっていうのにも感動もしました。

『西の魔女が死んだ』と比べると、ちょっと話は複雑ですが、『からくりからくさ』もおもしろいですよ。ぞっとする場面も多々ありましたw

>「西日の街」
どなたの著作なのでしょうか?
はじめて聞いたタイトルです。
また本屋さんでちょっと気にかけてみますね。

2005 10/28 大葉 もみじ 編集


はじめまして^^
履歴見て飛んできたのですが・・・
こんなブログがあるなんて!!
本読みたいなぁ~と思ってもなかなか何を読んで良いのか分からなかったりして結局読まないでいたりするんですけど、これからはココでチェックさせてもらいます^^
これからも頑張ってくださいね♪
リンク貼らせてもらっていいでしょうか?

2005 10/28 Woo 編集


こんにちわ

コノ前
「西の魔女が死んだ」を読みました。
最後 ちょっとホロっとし、ゾッとしました。

今度は
「からくりからくさ」読んでみよっかなー。

ちなみに
今は「西日の街」っというのを読んでます。

また来ますね~

2005 10/27 orivea 編集


訪問&コメントありがとうございます!
あまり頻繁には更新していないのですが、これからもいろいろな本を紹介していこうと思っているので、またお越しくださいね♪

2005 10/27 大葉 もみじ 編集


コメントありがとうございます!
「ミケルの庭」のレビューも読ませて頂きました。
蓉子を「土着の母性を現すキャラクター」と書いておられましたが、すごくしっくりきている表現だと思いました。
その母性を育んでくれたのは、おばあちゃんと、そしてりかさんなのでしょうね。
そういう蓉子に関する記述にばかり反応してしまう自分はきっと蓉子に肩入れしているんだろうなぁと思います。(笑

『沼地のある森を抜けて』、まだ未読です。文庫化されるのを待つか、単行本で購入するか思案中です。
早く読みたいけど、経済的に・・とか考えて。
とにかく読むのが楽しみです♪

2005 10/27 大葉 もみじ 編集


履歴から飛んできましたw
色んな本紹介されてるんですね(*^-^*)
ランクリ押させてもらいました。
頑張ってください♪

また覗きにきまぁす!!

2005 10/27 まみぃ 編集


TBありがとうございました。
「ミケルの庭」は、確かに「からくりからくさ」を読んでいないと、面白みがわからないですね。
「からくりからくさ」のテーマをよりわかりやすくしていると思うんですが、それでも伝わりにくいというか。
多分、「からくりからくさ」をじっくり読んでいる人にとっては、駄目押しって感もありますね。

ところで、新作「沼地のある森を抜けて」は相当期待できそうです。
あの豊崎女史が絶賛していたらしいです。
はやく読みたいなぁ。

2005 10/26 くろにゃんこ 編集


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