もみじの本屋 『春になったら莓を摘みに』

『春になったら莓を摘みに』

春になったら莓を摘みに『春になったら莓を摘みに』 (新潮文庫)
著:梨木香歩

読んでいる最中、ちょっぴり須賀敦子を思わせる文章だなと思っていたら、最後の解説でもそのようなことが書かれていた。
とても洗練されていて流れるような、それでいて人に強くうったえかけてくる文章、とても好みの文章である。

内容は著者がイギリス留学中に下宿していたウェスト夫人の家の周囲のこと、他の下宿人や隣人たちの話を中心に、旅先でのことや、著者自身の内的思考なども書かれている。
どの話も印象的でとてもよかった。もっとも著者の内的思考について書かれているのは「子ども部屋」という話である。全体としてもちろんそういう傾向はあるが、この話はとくに読者の思考も促してくれるだろう。

この本は一度読み終えて、すぐにもう一度読み返してしまった。
何度も読み返したくなる本はいくつかあるが、すぐに読み返したのはこの本がはじめてである。とても力強い本であった。

読みながら、共感、尊敬、憧れを強く感じた。そしてほんの少しの反感も。
梨木香歩の素顔の一面を垣間見られるこの本、とてもおすすめしたい一冊である。


(TBさせてもらった記事)
→ 「春になったら苺を摘みに」梨木果歩(日だまりで読書)
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  梨木香歩 トラックバック:2 コメント:6
コミュニティ( 本・雑誌 | エッセイ

コメント

>EKKOさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
じつはこの本、偶然にも昨日再読したところです。

梨木さんの本は、物語にしろエッセイにしろ、どれも精神世界の表現が見事だと思います。
そしてそれによって読み手は思わずいろいろなことに思考めぐらせてしまうのです。
そんなところが大好きです♪

「読むと背筋が伸びる」っていうのもわかります。
何度読んでも、ほんとに素敵な本です!

2007 01/09 大葉 もみじ 編集


はじめまして。
そらさんのところから飛んできました。
梨木さんの作品は最近よく読んでいます。「ほんの少しの反感」って、何となくわかる気がします。私は「西の魔女が死んだ」を読んだときに少し感じたのですが・・・。
でも尊敬できる気持ちも大きく、梨木さんの本を読むと何だか背筋が伸びる気がします。

TBさせていただきます。
またお邪魔させてください。

2007 01/07 EKKO 編集


>そらさん
難しいことを考えている、たしかにそうかもしれませんね。
梨木さんは内なる神とのコンタクトのみに焦点を当てる生活のことを考えながらも、内なる自分との対話をたくさんしているのでしょうね。

個人的には「子ども部屋」の「二つ以上の相反する方向性を保つと言うことは・・・」と梨木さんが考える部分がすごく好きです。

2006 09/13 大葉 もみじ 編集


大葉もみじさん、こんにちはっ♪
>こんなことがほんとに可能なのかなとか、これは少し考えすぎかもしれないとかいったことなんです
あぁ、そういうことなのね。
私の、難しいこと考えてる人だなぁといった印象と、
似てるのかもな~と思いました。
ご丁寧にありがとです♪

2006 09/13 そら 編集


コメント&TBありがとうございます!

>須賀敦子さんの文章
そうなんです、読んでいて時折ふと雰囲気が似ているなっていう程度なんですけど。
須賀さんの本を読むのであれば、まずは『ベネツィアの宿』をお薦めします。
タイトルにベネツィアと書いてあるしイタリアの話も少しはでてきますが、むしろ日本でのことがメインなので、イタリアに興味がなくても楽しめるとおもいます。

>ほんの少しの反感
全体的には共感ばかりで、読んでいて尊敬や憧れの念を抱いきました。
ほんの少しの反感というのは考え方に感心させられっぱなしで、逆にこんなことがほんとに可能なのかなとか、これは少し考えすぎかもしれないとかいったことなんです。ときおりそんなことを思いました。とくに「子ども部屋」を読んでいる時に多かったかもしれません。

2006 09/11 大葉 もみじ 編集


大葉もみじさん、こんばんはっ♪
>須賀敦子を思わせる文章だな
そうなんだ。須賀さん、まだ読んだことのない作家さんなので、とても気になっていた方なの。
やっぱり読んでみたいな~と思ったのでした♪

>個人的には、共感、尊敬、憧れ、そしてほんの少しの反感を覚えた。
その「反感」に、ちょっと興味をそそられたりして(^^;)

2006 09/10 そら 編集


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