もみじの本屋 『すべての小さきもののために』

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『すべての小さきもののために』

すべての小さきもののために『すべての小さきもののために』
原書:『All the Little Animals』
著:ウォーカー・ハミルトン 訳:北代美和子 (河出書房新社)

「それはみんな魔法っぽかった」

主人公は31歳。ボビーという名前の男の子。
‘デブ’から逃げてきて、トラックに乗せてもらいコーンウォールに向かっている。
トラックが事故を起こして、小さな男と出会う。
男の名はミスター・サマーズ。サマーズさんだ。
サマーズさんは車にひかれた小動物を埋める。それが仕事だという。
ボビーはサマーズさんのあとを追い、仕事をさせてくれと頼む。

ボビーはサマーズさんのことを慕い、サマーズさんもボビーのことを気にかける。
「ほかの人間たちは生きものを殺す。わたしは埋める。ドブネズミやハリネズミや小鳥やハリネズミやカエルやそれにカタツムリだって埋める」
「あれは命だということだ、坊や。雌牛の形をした命。わかるかな?」

サマーズさんはボビーにたくさんのことを伝える。
一方で、アルコールへの依存、執拗なほどの車への嫌悪、小さな動物の命を奪うものすべてに対する軽蔑などから、時折サマーズさんの中の翳りのようなものが見え隠れする。

ボビーは徐々に自分で何かをするということを覚えていく。
しかしいざというときに、自分が無力で小さな人間であるということを実感する。
そしてボビーはつぶやく。
「ああ、人間というのは、こちらがほんとうに助けを必要としているとき、なぜ助けてくれないのだろう?」
そして‘デブ’から、大きな何かから逃げ続けようとする。

本書のタイトルの「ちいさきもの」、その中にはおそらくボビーやサマーズさんのことも含まれている。
ボビーやサマーズさんが「ちいさきもの」を見えないところに動かしてやるように、ボビーやサマーズさんにも救いはあったのだろうか。

表紙やタイトルからは、ほんわかとかわいらしい物語を思い浮かべるかもしれない。
しかし、騙されてはいけない。
ストーリーは衝撃的で、残るものは悲しさや切なさ、そんな物語だ。
全体的にどこか霧の中のようでぼやけた感じがあり、それはまさに魔法っぽかった。

(TBさせてもらった記事)
→ 『すべての小さきもののために』ウォーカー・ハミルトン (ツンドク本いっそ一掃)
→ すべての小さきもののために (まっしろな気持ち)


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●外国人作家 トラックバック:1 コメント:4

コメント

>五十路っ子さん
コメント、ありがとうございます!
とても味のある本で、読んでみてよかったです。

物語の展開は考えてみたら、まったく無駄がなく実はテンポのいい作品だったと思います。
先が気になる展開に、息をつく暇なく進んでいくのに、なぜかのんびりとした雰囲気もあるのもよかったです。

でも、そんなわけで一度目は物語の深いところは見えないのかもしれませんね。
たしかに読み直すと、また違った物の見方ができそうな本だと思います。
また少し時間をおいてから、読んでみたいと思います。

星新一さんの作品も好きです♪
母親の本棚にあったのを読んで小学生のときにかなりはまりました。
当時衝撃的だったのは、穴の中にどんどんとゴミをほりこんでいくという話のショート・ショートです。

2006 09/24 大葉 もみじ 編集


こんにちは。読んでくださったんですね(^^) この本はもう一度読み直すと、また違った物の見方ができそうですね。
コメント残さなかったのですが、前に寄らせていただいたとき、星新一の本紹介、読みました。懐かしかったです。思えば、「この人の書いたものが読みたい」と意識した最初の作家が星さんでした。はるかン十年前の話ですが(笑)

2006 09/23 五十路っ子 編集


>ましろさん
こんにちは!
うん、魔法っぽい表紙ですよね。
表紙の動物たちがかわいらしくて好きです♪

Modern&Classicシリーズ、はじめて読んだのですが、この作品は他のものも読みたいと思うような作品でした。

2006 09/17 大葉 もみじ 編集


もみじさん、コンニチハ。
そうですね。思えば、表紙のイメージからは、だいぶ違う内容でしたね。
でも、“魔法っぽい”という感じからしたら、
ファンシーな絵柄で正解だったのかもしれません。
Modern&Classicシリーズに、かなりはまってしまったわたしです。

2006 09/17 ましろ 編集


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