『トリツカレ男』 (新潮文庫)
著:いしいしんじ
主人公のジュゼッペ、彼こそがトリツカレ男である。
本当にさまざまなモノにとりつかれる。
オペラに三段跳び、探偵ごっこ、昆虫採集、外国語の通信教育、なぞなぞ、カメラ集め、潮干狩り、腹筋に背筋、誰もみたことがないほどばかでっかい雪だるまづくり、ナッツ投げ、そしてハツカネズミの飼育などなど。
ハツカネズミの飼育をしてたとき、ジュゼッペは親においていかれた人間の言葉をしゃべるハツカネズミと知り合い、親友のような、相棒のような、とてもいいパートナーになる。
一度とりつかれたら、一心不乱にそれに熱中、他のことは一切気が向かなくなる。
そして誰も敵わないくらいすごくなる。
そんな調子だから街のみんなもあきれて、ばかなトリツカレ男なんていわれるけど、でもみんなそんな彼を楽しみにしていて、実はすごく人気者なのだ。
ある秋の日、サンドイッチづくりにとりつかれていたジュゼッペは、サンドイッチをもってハツカネズミと公園に散歩に出かけるのだが、そこでまたとりつかれてしまう。
とりつかれてたのは風船売りの女のこ。
とにかくその女のこのためにいろいろなことをしてあげる。
女のこの笑顔に灰色のくすみを見つけると、ハツカネズミにたのんでその原因を探ってきてもらい、そして陰で解決してあげる。
この本のレビューをいろいろ読んで、純愛とかピュアなラブストーリーとかいろいろ書いてあったけど、その女のこのために尽くしてあげるその姿はまさに純粋な愛かもしれない。
そんななかおもしろいなと思ったのは「今までにはないタイプの、極上の王子様像。」という評。これはなるほどなって思った。
でも、この物語はジャンルで分けるならラブストーリーではないだろう。
いいジャンルを思いつかないがもっとさらりとした、それでいてやさしいジャンル。
だからラブストーリーがあまり好きでない人でもきっと楽しめる本。
シンプルな展開が心地よく、終盤はストレートに胸をうつ。
とてもおすすめの一冊なので是非読んでみてほしい。
(TBさせてもらった記事)→
◎「トリツカレ男」 いしいしんじ ビリケン出版 1365円 2001/10(「本のことども」by聖月)
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いしいしんじ【トリツカレ男】(ぱんどら日記)
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トリツカレ男 ~いしい しんじ~(My Favorite Books)
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