もみじの本屋 『此処彼処』

『此処彼処』

此処彼処『此処彼処』 (日本経済新聞社)
著:川上弘美

日本経済新聞に連載されていたエッセイ集。
さまざまな場所について書かれているが、紀行文や紹介文というわけではなく、12ヶ月に分けて、さまざまな場所についての思い出が書かれている。

はじめの数ヶ月はどこか切なくてもの悲しい雰囲気があるなと感じたが、後半は少し陽気な印象をうけた。
全体的にはどこか夢の中のようにおぼろげで、でも透きとおったガラスのように鮮明で、「ああ、やっぱり川上弘美だな」と思った。

基本的には関東のある場所にまつわる話が多いが、ときどき関西や北海道など他のところの話もでてくるし、幼少時代を過ごしたアメリカや新婚旅行でいったマダガスカルの話もでてくる。

気になったのは9月の最後に書かれている「堅田」について。
琵琶湖というちょっと身近な場所で、しかも松尾芭蕉の逸話のこともあり、また中秋の名月のちかいこの時期に読んだせいではあるが、実際に十六夜の月がでているころにいってみたいと思った。

最後まで読み、あとがきを読んで、そしてその最後の部分に書かれている「武蔵野にて」という文字を見た時、その5文字がこのエッセイ本のすべてを集約しているような気がした。

はじめて読む人でも十分に楽しめる内容であるが、幼少時代の記憶や、自身の書いた作品(とくに『神様』)について触れられているところもあり、川上弘美ファンの人にはたまらない一冊であろう。


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(関連書籍)
神様『神様』
著:川上弘美 (中公文庫)
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