もみじの本屋 『ありがと。 あのころの宝もの十二話』

『ありがと。 あのころの宝もの十二話』

ありがと。『ありがと。 あのころの宝もの十二話』 (メディアファクトリー)
編:ダ・ヴィンチ編集部
著:狗飼恭子、加納朋子、三浦しをん(他)

大人の女性に向けた本だろうか。
不倫だとか離婚だとか意外と重たいテーマの作品も多かった。
もちろん個性的な作家が集まっているので、内容は12話すべてまったく違ったものであるし、短編とはいえどの作品も30ページほどあるので、読み応えもある。

加納朋子の作品が収録されているということ気になっていた。そして狗飼恭子、三浦しをんの作品も一度読んでみたかったので購入。読んでみると、「賢者のオークション」、「窓の下には」、「光の毛布」、「届いた絵本」などにも興味をひかれた。
あと、この本の12話目に輪廻転生をあつかう「プリビアス・ライフ」をもってきているところになんとなく編集のうまさを感じる。

読みたかった「モノレールねこ」であるが、おもしろかった。
小学生のサトルの家に不細工なデブのねこがやってきた。そのねこを嫌がっている母にはだまって、サトルはときどき餌をやっていた。
あるとき、そのデブねこは赤い首輪をつけていた。サトルはそこに「このねこのなまえはなんですか?」という手紙をはさむ。そして、となりの校区の小学校に通うタカキとの文通がはじまった。
加納朋子の本を何冊か読んでるものとして実は最後の展開が読めてしまったのだけど、でもだからこそ加納朋子らしさのにじみ出ている一話だと思う。

もう一つ「届いた絵本」についても書かせてもらおう。
高校教師の母、イラストレーターの父、その二人の子どもである志織。両親が別居することでうまくいっている家庭。母と暮らしながらも、その現実を冷静に見つめる志織は実は両親以上に大人なのかもしれない。
そんな志織が大切にしていた、宝物だった絵本は家を出て行く前に父がくれたもの。しかし、その本は母に燃やされてしまった。
タイトルからもわかるとおり、そんな志織のもとに一冊の絵本が届くのだが‥。
絵本の内容に対しての小さいころの志織の思い、新たに届いた絵本に向けての志織の思いに、思わずほろりとさせられる。

12人の中に気になる作家さんがいる、いろんな作家さんの作品が読みたい、新しい作家さんを発掘したい、そんな人にはおすすめの一冊である。

(収録作品)
「町が雪白に覆われたなら」 狗飼恭子
「モノレールねこ」 加納朋子
「賢者のオークション」 久美沙織
「窓の下には」 近藤史恵
「ルージュ」 島村洋子
「シンメトリーライフ」 中上紀
「光の毛布」 中山可穂
「アメリカを連れて」 藤野千夜
「愛は、ダイヤモンドじゃない。」 前川麻子
「骨片」 三浦しをん
「届いた絵本」 光原百合
「プリビアス・ライフ」 横森理香


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(関連書籍)
君へ。『君へ。 つたえたい気持ち三十七話』
編:ダ・ヴィンチ編集部 (メディアファクトリー)
著:北方謙三、田口ランディ、石田衣良、川上弘美(他)

秘密。『秘密。 私と私のあいだの十二話』
編:ダ・ヴィンチ編集部 (メディアファクトリー)
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嘘つき。『嘘つき。 やさしい嘘十話』
編:ダ・ヴィンチ編集部 (メディアファクトリー)
著:西加奈子、豊島ミホ、井上荒野(他)
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