もみじの本屋 『どこにもない動物園』

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『どこにもない動物園』

どこにもない動物園『どこにもない動物園』 立原えりかのファンタジーランド1
(青土社)
著:立原えりか

さまざまな動物が登場する16の話が収められている短編集。
全体に、哀愁というのだろうか、少し物悲しい雰囲気が漂っている。

とくに気になった作品は「花くいライオン」、「青い目をしたろば」、「オオカミの船」、「野原の食卓」、「光をたべる仔馬」、「木馬が乗った白い船」の6話。
いくつかを簡単に紹介しよう。

「花くいライオン」
ひげがなくなり、けもののくにの王さまかんむりをヒョウにあげて、ひとりけもののくにから離れていくライオン。それまで慕ってくれていたキリンもヒョウも見向きもしてくれない。
草原で涙をこぼして、「だれか、ともだちになってくださいよお。こころからの、ともだちなって、ヒゲがなくっても、ともだちでいてくださいよお」というと、ちいさな白い花が声をかけてくれたのだ。
ライオンとちいさな花はとっても仲良くなり、一緒にすごしていくのだけれど…。

「オオカミの船」のオオカミも、一人ぽっちで寂しくて友達をほしいと思っていて、ある一人の女の子と仲良くなる。一人の寂しさを思い、読んでいてこちらまでなんだかさみしくなってきた。だけど、とっても仲のいい友達ができて、そして結末は・・。どちらの結末も胸を締め付けられるような気がした。だけど、後味は悪くない。むしろ、冬の星空を見るようなそんな透きとおった清々しさを感じた。

「青い目をしたろば」
湖のほとりの小さな村、大きなアンズの木があるところで、子供をのせてアンズの花の下をひとめぐりするのがロバたちのしごとだった。そのなかに年をとった青い目をした一頭のロバがいた。そのロバは、好きになれる、愛してみることができる何かに会えないかと思っているのだった。
アンズの花が一番美しいある晴れた日、「わたしを、のせてくれる?」と、とてもちいさな女の子が青い目をしたロバにほっと笑いかける。そしてロバはその女の子を乗せて歩きはじめる。

ロバが好きになることの説明をこんなふうに言っていた。
「そのひとのために、せいいっぱい、何かしてあげるんだ。そのひとのことだけを、いっしょうけんめいにかんがえて、夢中になって……」
女の子のために、ロバは本当に一生懸命になるが…。
最後の「それは、たしかに、夏のにおいでした。」という一文が、悲しさや切なさよりも明るい何かを感じさせるところにひかれてしまう。

「木馬がのった白い船」
ある郵便局の局長さんが宿直にあたっていた時、一頭の木馬が手紙を出しにやってきた。木馬はとても遠い所に行くことになったので、おけしょうをしてほしい、見送りにきてほしいという内容の手紙だった。
木馬が返事をとりに来る日、局長さんはまた木馬に会えるのを嬉しく思いながら木馬を待ち、やってきた木馬に返事を読んでやる。
そして、局長さんも木馬の見送りにいくことにする。

この一話だけは、ほかの話とは少し違った印象をうけた。
ほかの話と同じように物悲しい雰囲気はあるものの、木馬の愛嬌のためだろうか、愉快な印象のほうが強かった。だから、ほかの話よりもシンプルに物語を楽しむことができた。


(収録作品)
花くいライオン
青い目をしたろば
ユニコーン
くじらのお星さま
コチョウガイ
ホタルのちょうちん
さいごの蝶
オオカミの船
笛吹きロバ
海からきたひと
バク
わすれもの
北風の夕まぐれ
野原の食卓
光をたべる仔馬
木馬がのった白い船



「立原えりかのファンタジーランド」全16巻
1.『どこにもない動物園』
2.『おばけものがたり』 (レビュー
3.『空にもらった首飾り』
4.『いとしい人への花束』
5.『妖精たち』
6.『喰人鬼の噴水』
7.『風をよびとめて』
8.『小さな人の寸法は?』
9.『扉の向こうへ』
10.『つばさのおくりもの』
11.『おいでよ 海に』
12.『おわらない祭り』
13.『ゆめのひとつぶ』
14.『手品のたねあかし』
15.『ほんものの魔法』
16.『おさないともだちに』


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