もみじの本屋 『ラッシュライフ』

『ラッシュライフ』

ラッシュライフ『ラッシュライフ』 (新潮文庫)
著:伊坂幸太郎

のぞみの車内で会話をする志奈子と戸田、泥棒を家業とする黒澤、宗教団体の教主である高橋に心酔する河原崎、不倫相手とその相手の妻の殺害を企てている京子、リストラされ再就職もうまくいかない豊田、いくつかの物語が併走しながら描写されていく。

物語でたびたび「エッシャー展」の話がされるが、その騙し絵のような物語の展開にはさすが伊坂幸太郎と思わずにはいられない。

物語の中で、

「『つなぐ』という絵がとても良かった」……(中略)……「あれはリレーを意味しているんだね。人生はきっと誰かにバトンを渡すためにあるんだ。今日の私の一日が、別の人の次の一日に繋がる」

「私の好きだった絵にそういうものがあってね。『つなぐ』という題名だった。それを観て思ったんだ。一生のうち一日だけが自分の担当で、その日は自分が主役になる。そうして翌日には、別の人間が主役を務める。そうだったら愉快だな、と」(本文より)

といった台詞が出てくる。
人と人が関わりあい、そしてつながりながら日々を生きていく、これが本書のテーマの一つなのであろう。

物語全体として重みがあまり感じられなかったのが少し残念である。たしかに巧いと思わせる構成だし、セリフも読んでいて楽しい、ただ何故か物語として印象に残りにくい。
だが、その軽やかさがこの作品の良さの一つだと思うので、重厚な古典絵画をみるのではなく、挑戦的な現代アートを観る感覚で読むといいのかもしれない。


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(関連書籍)
オーデュボンの祈り『オーデュボンの祈り』
著:伊坂幸太郎 (新潮文庫)

額屋のバイトがするという喋るカカシの話。

→ レビュー


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コメント

>mikiさん

はじめまして。コメントありがとうございます。

たしかに『ラッシュライフ』は読んでいて会話がおもしろかったです。特に黒澤さんがでてくるところが好きでした。

blog、まだ始められたばかりなのですね。
ときどき遊びにうかがいたいと思います。

2011 01/23 大葉もみじ 編集


同じ読書ブログをやっているものです^^
私のブログは感想を並べ立てるだけだし
始めたばかりでこことは
天と地の差ですが・・・(笑
この本は今読んでいるので
目に留まりました。
私はラッシュライフの中の会話の
1つ1つが面白いと思いました^^
初めてなのでよくわからないんですが
とりあえずURLのところに私のブログの
URLを張っておきます
また、よければ来てみてください。

2011 01/23 miki 編集


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