もみじの本屋 『クローバー・レイン』

『クローバー・レイン』

クローバー・レイン『クローバー・レイン』 (ポプラ文庫)
著:大崎梢

本書の主人公である彰彦は、千石社という老舗の大手出版社に勤める編集者である。
彰彦は、ある新人賞の贈呈式で自分が担当である家永という作家と久しぶりに会う。そして式の後、酒のまわった家永を開放し自宅まで送り届け、そこで「シロツメクサの頃」という家永の新作の原稿と出会う。
その原稿に感動した彰彦は、ぜひ自分に担当させてほしいと頼み込むのだが。

これまで順風満帆に仕事をしてきた彰彦は、勢いのない作家の原稿を出版するための苦労を知らなかった。輩編集者には
「……千石社にとって今現在の家永さんの原稿は―言い方はひどいけど、ノーサンキューなの。もう、言わせないでよ。この先ブレイクすることがあったら、改めて原稿依頼にうかがえばいい。残念だけど、うちは敷居の高い会社よ。それなりのクラスじゃなきゃ本は出せないわ(本文より)」
と、はっきりと忠告される。
それでも彰彦は、出版に向けて奔走しだすのだが。


編集者の仕事内容など全く知らなかったので、読んでいて新鮮であった。
また登場する人たちのキャラクターもたっているし、彰彦や家永、家永の娘、友人の河上などについて語られる背景も物語のエッセンスとして効いており、全体的に綺麗にまとめられている作品である。

これまで大崎梢の著作は『配達赤ずきん』から続く成風堂のシリーズと『片耳うさぎ』しか読んだことがなかったのだが、本作はそれらとはまた違った味わいがあり、いい意味で裏切られた作品であった。


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