もみじの本屋 『虎と月』

『虎と月』

虎と月『虎と月』 (理論社)
著:柳広司 

学校の授業で読んだことがある人も多いである、中島敦の『山月記』。
その主人公である李徴の息子が本作の主人公。

中島敦の『山月記』は中国の『人虎伝』から構想を得ているという。
その『山月記』を繰り返し読み返しているうちに、いつの間にか生まれた物語が、本書の『虎と月』であると「あとがき」で著者は語っている。

「― 父は虎になった。」から始まる本書は、言ってしまえば『山月記』の後日談である。
母と二人で暮らしている主人公は14歳。

父、李徴に関する情報は下男が報告してきた「李徴様は、ある夜半、急に顔色を変えて寝床から起き上がると、何かわけのわからないことを叫びながら、そのまま下に飛び降りて、闇の中に駆け出していかれました」という言葉。

それに陳郡の袁參(李徴の友人)という人から届いた、「嶺南の地に旅した帰り、山中で一匹の猛虎にでくわし、その虎こそが李徴の変わり果てた姿だった」という内容の手紙だけである。
また、その手紙には、父のものという漢詩も添えられていた。

父の血を引く「ぼく」もいつか虎になってしまうのだろうかという不安から、父がどうして虎になったのかを追い求める旅に出る。



『山月記』のややとっつきにくい文体とは違い、とても読みやすく、内容もわかりやすい。
謎解き要素あり、哲学的要素ありの物語。



(関連書籍)
李陵・山月記『李陵・山月記』
著:中島敦 (新潮文庫)







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