
『矢上教授の午後』 (詳伝社)
著:森谷明子
舞台は東京都下、多摩地方にある大学の生物総合学部、広大なキャンパスの一角にある第一研究棟という老朽化した建物。
通称「オンボロ棟」である。
矢上教授はそのオンボロ棟の一部屋に研究室をもつ非常勤講師だ。
しかし白髪、白髯、七十年配のまさに教授と言わせし風貌なのである。
そんなオンボロ棟では奇妙な出来事が起きていた。
パリンバンと言う民族楽器の汚損、表彰状盗難。
そんな最中、事件は起こる。
オンボロ棟で身元不明の死体が発見されるのである。
さらには落雷によって停電したオンボロ棟はエレベーターが使えず、非常階段も1階部分が開かなくなっておりオンボロ棟はまさに閉鎖空間となってしまう。
閉鎖空間に死体。
まさにミステリの王道の一つである。
主要な登場人物はオンボロ棟に閉じ込められる限られた人物たちと他数人なのだが、パートが変わるたびにその登場人物たちの間で語り部が変わる。
こういった転換に慣れていなければ、とても読みにくいだろうと思う。
個人的には、さほど読みにくさも感じず、サクサクとパートが変わっていくので、むしろ読みやすかった。
ただ謎の方はやや重厚感に欠け、物足りなさは覚えた。
とはいえ、つまらなかったわけではなく、むしろ面白かったので著者の他の作品も読んでいきたいと思う。
- 関連記事
-
●マ行の作家 トラックバック:0 コメント:0
コミュニティ( 本・雑誌
| 推理小説・ミステリー )
記事のURL
http://momijibook.blog5.fc2.com/?overture" target="_new
記事のURL
http://momijibook.blog5.fc2.com/blog-entry-413.html
トラックバックURL
http://momijibook.blog5.fc2.com/tb.php/413-85cf85fd
⇒ 大葉もみじ (04/21)
⇒ 藍色 (02/05)
⇒ 恋するうさぎ (08/03)
⇒ 大葉もみじ (01/23)
⇒ miki (01/23)
⇒ 大葉もみじ (03/25)
⇒ バンコラン (02/22)
⇒ 大葉もみじ (08/26)
⇒ まー (07/22)