もみじの本屋 『満願』

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『満願』

満願
『満願』 (新潮社)
著:米澤穂信


6つの短編がおさめられている。
いずれもいい意味で薄気味悪く、耽美な物語という印象をもった。

個人的に謎が謎のままというもやっとした終わり方は好まないので、著者があまりそういった終わり方をしないことを信頼しつつ読んだ。
期待通り、伏線はしっかり回収し、謎はスッキリと解決。

だが謎が解決されつつもハッピーエンドとは限らないのもこの著者の持ち味。
そこに展開がどう転ぶかわからない楽しさがある。
この本に納められている6篇も、絶妙な塩梅だった。

個人的には表題作の「満願」が最も好みだった。

刑期を終えて出所した鵜川妙子。彼女の家に学生時代に下宿していたのは、弁護士の藤井である。

妙子は殺人を犯したことによって刑務所に入っていたのだが、その事件で妙子の弁護をしたのも藤井である。
世話になった妙子のために、少しでも罪を軽くしようとする藤井であるが、あるとき突然妙子は「もういいんです」と言い、控訴を取り下げる。

裁判であらそうことに積極的だった妙子が、なぜ突然控訴を取り下げると言い出したのか。






以下ネタバレ。


個人的な備忘録としてひとつ。

謎はスッキリと解決と上で書いたが、ひとつどうしてもわからない謎が残っている。
「満願」で妙子がダルマに何を願掛けしたのかである。

ダルマを購入した時期的に、殺人をするよりもそこそこ前であるので、掛け軸のことを願掛けしたとは思いにくい。
だが、「満願」というタイトルを考えると、刑期を終え満願叶うというのが物語として綺麗な終わり方であると思う。

ダルマを購入した時点で、聡明な妙子なら将来的に掛け軸の差し押さえも憂慮していたのかもしれないが、どうにも腑に落ちない。

再読したら、もうすこし見えてくるものがあるのだろうか。



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(追記 17.7.12)
「満願」が好みだったと書いたが、後日、この本で思い出すのは「万灯」の内容ばかりである。
おそらく好き嫌いとは関係なく一番印象に残ったのが「万灯」だったのだろう。

備忘録もかねてあらすじを記しておこうと思う。

商社マンの伊丹はバングラディシュでガス田の開発の仕事をしていた。
開発のための重要な拠点としてボイシャク村に目をつけるが、長老のアラム・アベッドがバングラディシュ未来のために反対していた。

ある日、伊丹はボイシャク村から「1人で来い」と手紙を受けとる。
ボイシャク村に行ってみるとフランス企業で働く森下と出会う。森下もボイシャク村に呼び出されたのだ。

高齢の指導者たちは、現在の富を優先と考える反アラム・アベッドの考えであった。
そして村のインフラ整備や医療設備の充実を求めていた。
また、それを進めるのに邪魔なアラム・アベッドの殺害も要求してきた。
二人は殺害を決意し実行に移す。

会社に戻ったあと伊丹は森下に連絡しようとするが、森下は既に退職した日本へ戻ったあとだった。
森下からアラム殺害がもれることを恐れた伊丹は、急ぎ東京へ向かう。
飛行機の中で高熱がでて空港で検疫を受けることとなるが、とにかく口封じのため東京で森下を殺害する。

森下とはなんの接点もないため、捕まることはないと考えていたが、なんと森下がコレラに感染していたことがわかる。
そして伊丹は空港での検疫の時点では問題なかったが、今、これらと同様の症状がでている。
森下を殺害する際に返り血を浴びていたのだ。





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