もみじの本屋 『アフターダーク』

『アフターダーク』

アフターダーク『アフターダーク』 (講談社)
著:村上春樹

pm11:56にはじまりam6:52に終わる、約7時間の夜中の物語。登場人物も数えるほどである。
全体的に淡々とすすんでいくので、さらさらと読める。人によっては物足りなさを感じるかもしれない。

マリとエリ(特にマリ)の話を主軸として物語は進んでいく。『海辺のカフカ』のように二つの話が交互に進行していく。
エリの話は意味ありげで、だが読んでいてわからないことがたくさんある。しかし、そんな世界とマリの現実的な世界とも微妙な接点からつながっていたりもする。こういうことを暗示しているのかなということがなんとなくわかりそうな気もするが。

村上春樹の作品なので相変わらずというべきだろうか、この本も評価が大きく割れている。良くも悪くも話題になるところはやはりさすがだと思う。いくつかリンクをはっておくことにするので、そちらも参考にしてもらいたい。

(TBさせてもらったblog)
→ 村上春樹「アフターダーク」 (カナダ暮らし+小さな楽しみ+)
→ 『アフターダーク』とその陰影 (Ubi dubium ibi libertas)
→ アフターダーク (spoon::blog)
→ アフターダーク/村上春樹 読了 (KITORA's Blog)
→ 村上春樹【アフターダーク】 (ぱんどら日記)


以下、個人的な感想を少々。
読み終えて、少々混乱した。いろいろと考えさせられたという点ではいい本というべきだろう。しかし、物語はこれまでの作品以上につかめなかった。なので、すこし時間をおいてまた読んでみたいと思う。
作中でマリとコオロギの会話が印象に残っている。いくつかあるのだが、ひとつ紹介してみる。

「時間をかけて、自分の世界みたいなものを少しずつ作ってきたという思いはあります。そこに一人で入りこんでいると、ある程度ほっとした気持ちになれます。でも、そういう世界をわざわざ作らなくちゃならないっていうこと自体、私が傷つきやすい弱い人間だってことですよね?そしてその世界だって、世間から見ればとるに足らない、ちっぽけな世界なんです。段ボール・ハウスみたいに、ちょっと強い風が吹いたら、どっかに飛ばされてしまいそうな……」 (本文より)

他にもマリが出会った人とマリとの会話はなかなかおもしろかった。



(関連商品)
ブルースエット『ブルースエット』 カーティス・フラー
何度か登場する音楽「ファイブスポット・アフターダーク」が収録されている。作中ではLPといっていたが。
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  村上春樹 トラックバック:3 コメント:2

コメント

コメント、ありがとうございます。
どんな本でも、自分の気に入った言葉をみつけたりするとちょっと嬉しくなりますよね。
村上春樹さんの作品は登場人物が独特の性格だったりして、その個人からでてくる言葉に重さがあるような気がします。これが村上春樹さんの本を好きな理由のひとつなです。

2005 03/30 大葉 もみじ 編集


「そういう世界をわざわざ作らなくちゃならないってこと自体、私が傷つきやすい弱い人間だってことですよね?」

強くうなずく一文でした。
ちょっとディープな話をすると「暗いね」っていう人
がいて、その人は常に明るく振舞っている。
でも、ディープな話を耳にするだけで、明るさが
色あせてしまうようなもろさも、
その人に感じてしまいます。
(いいとか悪いとかでなくて)

皆、一人一人が段ポールで作った世界の中にいて、
その段ボールをきれいに見せようと一所懸命に
なっているのかも知れませんね。
この文章を読んでいたら、
そんなことを考えてしまいました。

2005 03/30 ぱんだ 編集


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